昨日の続きです。
昨日の記事↓
【文献紹介】静止期造血幹細胞は慢性炎症時にINF-γによって活性化される~その1~ - こりんの基礎医学研究日記
Quiescent Haematopoietic Stem Cells Are Activated by IFN-gamma in Response to Chronic Infection
・M. avium感染による慢性感染中により早期の(より未分化な)前駆細胞がどうなるか調べた。
・ST-HSC(短期的な自己複製能力を有するHSC=short term HSC)の急速な増加あり。
(数週間程度多能性を維持できる。)
・LT-HSC(長期的な自己複製能力を有するHSC=long term HSC)はごくわずかに増加するか全く増加しないかのどちらかであった。
・感染前と感染後を比べるとLT-HSCの増殖率アップ。また静止期=G0期が少ない。
・感染したマウスと観戦していないマウスのLT-HSC500個ずつを放射線照射後マウスに移植→感染マウスをドナーとした場合は生着率悪い。
・移植ドナー細胞にはM. avium感染が確認できるが、レシピエント脾臓には細菌いない。
→M. aviumによって…
★HSC数増加が誘発される。
★HSC自体には感染しない。
・感染によってLT-HSCの増殖率が増えるにも関わらず、骨髄中にLT-HSC絶対数はほぼ変わらず→骨髄の外に出て行っている?
・感染前後の脾臓を調べたところ、感染後に脾臓中にHSCが増加していることがわかった。
・感染マウスではINF-γがアップレギュレートされている。
・IFN-γ受容体1(Ifngr1)遺伝子またはIFNの下流シグナルトランスデューサーをコードするStat1遺伝子欠損マウスで実験
→LT-HSCの増殖率悪い。
・しかしIFN-α受容体1(Ifnar1)欠損マウスでは正常に増殖→IFN-αシグナル伝達は関係ない。
・LT-HSCがIfngr1を発現し、IFN-γシグナル伝達に直接応答できることを筆者らは過去の論文で報告。
・リアルタイムPCRでIfngr1がHSCで発現していることを確認。
・In vitroでLT-HSCをINF-γで処理。
→LT-HSCにおけるIrgm1(基地のいNF-γ誘導遺伝子)発現はどうなる?→発現量増加!
INF-γシグナル伝達経路の活性化が見られる。
・HSC増殖はIFN-γ(rIFN-γ)単独で誘発され得る。(In vitroで他の因子がない中でも、INF-γ処理だけでHSC増殖が見られているから)
→次はIn vivoでも実験。
・マウスに10mg rINF-γを静注→12時間後にBrdU静注→さらに12時間後にHSC増殖状態を解析。→BrdU取り込み率はINF-γ注射によって上昇!
・INF-γ注射マウスの骨髄を移植すると生着率低下。
・IFN-γサイトカイン欠損マウスでは、感染がなくとも増殖率低い。
・IFN-γサイトカイン欠損マウスの骨髄を石工すると…競合移植の時には生着率有意にアップ!(非競合移植ではControlと同じ結果)
→IFN-γは、定常状態でもHSCを刺激する!ベースラインのIFN-γ濃度がHSCの質(再増殖能など)に影響を与える可能性がある。
・最近の報告では…IFN-αまたはIFN-α誘導剤poly(I:C)でマウスを処理すると細胞の自律的HSC増殖を引き起こす(これはIFN-γ受容体1(Ifngr1)遺伝子、Stat1遺伝子欠損マウスでは見られなかった)
・IFN-αとIFN-γが感染に応じてHSCを活性化するのに重要な役割を果たしている。
・慢性炎症性刺激に対するHSCの反応を深く理解することによって、結核及やHIV / AIDSなどの慢性感染患者における骨髄抑制の病態生理を理解するのに役立つ可能性がある。
以上です。