前回に引き続き、先日publishされた自分の論文をレビューしつつ、若手医師(だいたい初期~後期研修医くらい)が雑誌投稿する際のsuggestionを簡単にしていきます。
前回はこちら↓
自分が書いた症例報告のレビューと論文投稿に関するTips~前編・胃がん脊椎転移~ - こりんの基礎医学研究日記
症例報告、というかclinical picture2本目の紹介です。
右房内血栓による意識変容
ちなみに前回も今回もopen accessです。
この患者さんは、2年目初期研修のER勤務中に見た方ですが、かなり印象に残っています。
詳細は個人情報の観点から割愛しますが、やはり一番は心エコー画像です。右房と右室を行き来する6cmにも及ぶ巨大腫瘤影を見て、心エコー技師さんが驚いて私のところに駆けつけてきました。
論文を見ていただければ、非常にインパクトある動画を見ることができます。
当時は腫瘍を疑いましたが(粘液腫)、結果的には血栓でした。この大きさの血栓はもちろん非常に珍しいです。また心腔内血栓の多くは左房または左室ですが、右房という点も珍しいです。
治療としては、①開胸手術 ②カテーテル治療 ③保存的加療(抗凝固療法)
の3つがあります。参考にした文献の中には開胸で摘出したものが散見されました。
カテーテルに関しては、症例報告を探してみても見つかりませんでしたが、この症例を学会発表したときに見に来て下さった循環器科の先生がカテーテルなら治療できたかも…とボソッとおっしゃっておりました。この方に関しては、かなりの大きさですし、高齢でもあるので、それも困難だったかもしれませんが、もう少し小さいものであれば選択肢になるかもしれません。。
Clinical Pictureの投稿先について
本症例の応募を検討した雑誌と実際に応募した雑誌を列挙します。
・Internal Medicine 150語
・New England Journal of Medicine 150語
・An International Journal of Medicine (QJM) 500語
・Canadian Medical Association Journal 300語
・American Journal of Medicien 1500語
QJMは500語となっているものの200-300語程度が望ましいとなっており、他の雑誌用に書いたものをあまり改変することなく使用できました。
かなりインパクトある動画なので、clinical pictureのセクションにふさわしい!と思い、意気揚々と応募しましたが、かなりrejectされました。やはり患者さんが救命できなかったからでしょうか。。。
最終的にはOxford Medical Case Reportsに採用していただくことができました。
上記雑誌は、全て投稿経験あり、NEJM以外はaccept経験もありますが、どれも初心者向けです。でもやはりcase report専門誌であるOxford Medical Case Reportsはやはり敷居がより低いように思います。
Clinical pictureは症例報告に比べると(もちろん原著論文と比べても圧倒的に)、はるかに少ない労力で取り組め、高インパクトファクターの雑誌にも挑戦しやすいです。今後も積極的に挑戦していきたいです。
今回は以上です。