こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

栄養膜幹細胞におけるTET1,2の役割

勉強したことのメモ。

 

Chrysanthou S, Senner CE, Woods L, Fineberg E, Okkenhaug H, Burge S, Perez-Garcia V, Hemberger M.

A Critical Role of TET1/2 Proteins in Cell-Cycle Progression of Trophoblast Stem Cells.

Stem Cell Reports. 2018 Apr 10;10(4):1355-1368.

 

  • TET1,2はいずれも栄養膜幹細胞 (Trophoblast Stem Cells: TS 細胞)の維持に重要。
  • 上皮遺伝子の発現促進を通して栄養幕幹細胞を保護する。
  • TET1,2欠損TSCは細胞周期が障害されてしまう。
  • TET1はサイクリンB1に結合して安定化を助け、それによってG2/M進行を促進する。

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  • ten-eleven translocation (TET)タンパク質はES細胞の多能性を維持するために重要な役割を果たしているとされている。
  • 今回の論文ではTET1とTET2も栄養幕幹細胞の自己複製能を保護する能力を有していることを示す。
  • 特にTET1に関してはEカドヘリンを通してこの役割を果たす。(EカドヘリンはTET1が存在しないと高メチル化され、発現が抑制される)
  • TET1はサイクリンB1に結合して安定化を助け、それによってG2/M進行を促進し、融資分裂細胞周期進行を促進する。