医療統計にかんするセミナーのメモです。
タモキシフェンと乳がん
- 乳がん治療において術後の化学療法がしばしば行われる。
- 中でもホルモン剤の1つであるタモキシフェンは昔から用いられてきた。
→タモキシフェンは乳がん再発を予防するか?
Abe O. Breast Cancer 1994; 1: 1-9.
- 帰無仮説:タモキシフェン投与と乳がん再発は無関係
- Z検定を用いて検定(χ二乗検定はZを二乗しているものでありp値はZ検定と全く同じとなる)
→p値=0.046 有意差あり
→次に考えることは…タモキシフェンはどれくらい効果的なのか?
(p値だけでは「どれくらい」という評価はできない) - リスク差を計算してみると…(計算はここでは割愛)
再発割合の差(リスク差)=-0.0343
→乳がん術後にTAMを投与されると、投与されない場合に比べて再発リスクが約3.4%減少 - NNT=1つのイベント発生を予防するのに治療しなければならない患者数
を計算してみると…
(値が小さいほど治療法が効果的であることを示している)
NNT=1/リスク差=1/0.0343=29.2
→30人の乳がん術後患者にTAMを投与すれば1人の患者の再発を防ぐことができる。 - リスク比を計算してみると…(計算はここでは割愛)
再発割合の比=0.149/0.184=0.81
→乳がん術後にTAMを投与されると、投与されない場合に比べて再発リスクが4/5になる。 - タモキシフェンは乳がんに有効か?様々な指標で評価。
★治療効果の点推定値と95%信頼区間
リスク差:-0.034 (-0.068, -0.0006)
NNT:29.2 (15, 1667)
リスク比:0.81 (0.66, 0.99)
相対リスク減少割合:19% (1%, 34%)