Chen B, Fan W, Zou J, et al.
Complement Depletion Improves Human Red Blood Cell Reconstitution in Immunodeficient Mice.
Stem Cell Reports. 2017;9(4):1034-1042. doi:10.1016/j.stemcr.2017.08.018
我々は、ヒト赤血球(hRBCs)は、免疫不全マウスに移植するとマクロファージによる強力な拒絶反応にあうことを以前に示した(すぐに赤血球は死んでしまう)。今回の研究では、マウス血清が、ヒト赤血球のマウス食細胞への接着を誘発することを発見した。これにはマクロファージなどの「プロフェッショナル」食細胞と、その近傍に存在する上皮細胞や繊維芽細胞などの「ノンプロフェッショナル」食細胞の両方が含まれる。そして補体がこのマウス血清誘発性hRBC吸着を助けることが分かった。コブラ毒中の成分であるコブラ毒因子(CVF)処理によってる補体を消耗させたNOD/SCIDマウスではhRBCの生存は確認できなかったのに対し、クロドロン酸リポソームを用いてマクロファージを除去したマウスにCVF処理を行うとhRBCの生存期間を優位に延長させた。この処理はまた、ヒトCD34+細胞をマウスに移植した際の赤血球再構築能を向上させた。これらのデータは、マクロファージによる赤血球拒絶機構にかかせない補体が、好中球などほかのタイプの食細胞の赤血球拒絶にも関与していることを示している。