講義のメモ。いろいろ聞いたけど印象に残ったところだけ。
医師のジェンダーによる患者とのコミュニケーションの違い
- 女性医師の方が診察時間が長い 平均23分vs21分
- 女性医師の方が肯定的態度を示す発話が多く、心理社会的なことに関する話し合いや感情に関する話し合いを多くできる。
- 女性医師の方が患者の総発話量が多く、また患者の方が主張的で医師の話を遮る。
- 女性患者+女性医師 医師の肯定的な態度が多く患者の情報開示につながる
対立が少ない。 - 女性医師の方がコミュニケーションに良いとされているスキルを患者面接において多く用いているにもかかわらず患者満足度にはつながっていない。
(男性医師と差がない) - 講義で引用されていた文献
Roter DL, Hall JA, Aoki Y. Physician gender effects in medical communication: a meta-analytic review. JAMA. 2002 Aug 14;288(6):756-64.
"Female primary care physicians engage in more communication that can be considered patient centered and have longer visits than their male colleagues."
女性医師の方が患者とのコミュニケーションが活発であり、患者中心であり、男性医師よりも診察時間が長い。
”On average, female physicians do not win out in popularity, as indicated by a review of studies that compare the satisfaction of patients seeing male vs female physicians.”
女性医師だからと言って男性医師と比較して患者満足度が高いわけではない。 - 講義では触れられませんでしたが、数年前に女性内科医が主治医の方が男性内科医が主治医の場合よりも再入院率や死亡率が低いという論文が出て話題となりました。
Tsugawa Y, Jena AB, Figueroa JF, Orav EJ, Blumenthal DM, Jha AK. Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians. JAMA Intern Med. 2017 Feb 1;177(2):206-213.
「世界で影響を与えた科学論文」第3位に選ばれるなど大変注目を集めました。
ちなみに上記論文の著者は日本人です。
www.asahi.com
同じ年に別の研究グループから外科に関しても同様の結果であるとの報告が出ました。
Wallis CJ, Ravi B, Coburn N, Nam RK, Detsky AS, Satkunasivam R. Comparison of postoperative outcomes among patients treated by male and female surgeons: a population based matched cohort study. BMJ. 2017 Oct 10;359:j4366.
