臨床研究に関する講義を聞いたので、その内容の要約です。備忘録的な感じです。
臨床研究は交絡因子との戦い!いかに交絡因子を調整するかがポイント!
交絡因子は既に分かっているものもあれば未知のものもある。
臨床研究において測定されない交絡因子を調整できる方法は2つだけ
1.RCT=ランダム化比較試験(randomized control trial):介入研究
2.操作変数法:観察研究
RCTは交絡因子を調整する最も優れた方法であるが、膨大な時間とお金がかかり、しばしば実施は困難…
このためRCTではないが、RCTに近い状態を再現するための方法がいくつかあり、その中の1つが操作変数法。
疑似RCT…傾向スコア分析(propensity score matching)、操作変数法
今回はこのうちの操作変数法について。
操作変数法とは
共変量とは関係がなく介入との関係はあり、アウトカムとの関連がない変数を新たに見つけてくる方法。
RCTではくじ引きで介入するかしないかを決定するが、このくじ引きに相当する因子を探してくる方法。
例えば…
脳梗塞後にすぐにリハビリを開始すれば予後は改善するか?
というクリニカルクエスチョンを考えてみる。
RCTならば
脳梗塞になった患者さんを早期リハビリ群とそうでない群(対照群)の2群にランダムに分け、予後(modified Rankin Scale)を比較する。
操作変数法ならば(1例)
金曜日に入院した脳梗塞患者と月曜から木曜までに入院した脳梗塞患者の予後を比較する。金曜日に入院すると土日にリハビリ介入が入らず、リハビリ開始が遅くなる(土日リハビリ体制のない病院であれば)。これに対し、金曜以外の平日に入院した患者は、入院の当日や翌日からリハビリが可能である。
患者が何曜日に入院するかは全くの偶然(=ランダム)であり、早期リハビリ群とそうでない群(対照群)にランダムに割り付けているのと同じ状態を再現できる。
「何曜日に入院するか」がこの場合の操作変数となる。
これ↑を検証した文献
Matsui H, et al. An exploration of the association between very early rehabilitation and outcome for the patients with acute ischaemic stroke in Japan. BMC Health Serv Res 2010;10:213
「医師あるいは病院ごとの治療実施割合」が臨床疫学で最もよく利用される操作変数だとのこと。
操作変数法の難点
「共変量とは関係がなく介入との関係はあり、アウトカムとの関連がない変数」
(専門的にはもっと難しい表現ですがここでは割愛。ネット検索するともっと詳細かつ専門用語での解説もいろいろ出てくる)
が現実にほとんどない。
同じく疑似RCTとしてよく挙げられる、傾向スコア分析(propensity score matching)より優れているのではとの声もあるが、この適切な操作変数を見つけるのが困難であるため、なかなかそうとも言えず。。。