今回は軽~くいきます。
Mortensen M, et al.
The autophagy protein Atg7 is essential for hematopoietic stem cell maintenance. J Exp Med.
2011 Mar 14;208(3):455-67.
<基礎知識>
オートファジーは最近記事をいくつか書いています。
細胞内のいらなくなったたんぱく質や古くなったたんぱく質などを独自に分解し、リサイクルし、新しいアミノ酸やたんぱく質を作り出す方法のことで、自食作用などとも言われます。
ノーベル賞を受賞した大隅氏らが、最初に酵母でオートファジーの研究をはじめ、オートファジーに必須の遺伝子群(ATG遺伝子群)を同定します。その後も様々なオートファジーの機構を解明していきます。また、酵母のみならず多くの動物のたんぱく質品質維持に関与していることが分かり、研究分野は広がっていきました。
このATG群の中でも、オートファゴゾームの形成には、Atg12とAtg5、Atg8との2つのユビキチン様結合系が必要であり、Atg7は両方で必要な媒介でありオートファジーに必要不可欠である。
しかし造血幹細胞とオートファジーとの関与はよく分かっていませんでした。そこに登場したのが今回の文献です。2011年のことです。
<本文要約>
- Atg7 KOマウスを作成→進行性貧血などのためすぐに死亡してしまう。
- HSCや複数系統の前駆細胞が大きく減少。
- 移植後再構築能も低下。
- KOマウスではミトコンドリアにスーパーオキシドが蓄積。DNA損傷も蓄積。
これがアポトーシスにつながる。 - HSC機能維持にAtg7、つまりオートファジーは必須。