調べたこと・勉強したことの備忘録です。
オートファジーに関しては以前も記事を書きました。
オートファジーは2016年に大隅良典氏がノーベル賞を受賞しましたが、これはもともと1990年代に酵母のオートファジー必須遺伝子群(ATG 遺伝子群)を同定したところから始まり、その後もオートファジー分子をや機構を解明してきたことが評価されてのことでした。
というわけで、ATG群はオートファジーに重要な遺伝子群になります。
これに関しては日本からもいくつか文献が出ています。
Structural basis of Atg8 activation by a homo-dimeric E1, Atg7.
Nobuo N. Noda, Kenji Satoo, Yuko Fujioka, Hiroyuki Kumeta, Kenji Ogura, Hitoshi Nakatogawa, Yoshinori Ohsumi, Fuyuhiko Inagaki
Molecular Cell, 44, 462-475 (2011)
参考:
オートファジーは真核生物において保存された細胞における主要な分解経路であり,タンパク質からオルガネラ,細胞に侵入した細菌にいたるまで,さまざまな対象をオートファゴソームとよばれる二重膜の構造体に隔離し,リソソームあるいは液胞へと輸送することでその分解を行う.
この過程に多くのたんぱく質が関与しているのですが、とりわけAtgファミリーの中のAtg8と12が重要であり、Atg7はこの2つの結合系において共通して機能するユビキチン活性化酵素です。
Atg7の構造
Formation of the autophagosome requires two ubiquitin-like conjugation systems, in which Atg12 (autophagy-related gene 12) is covalently linked to Atg5, and Atg8 is conjugated to phosphatidylethanolamine (Geng and Klionsky, 2008). Atg7 is a necessary catalyst in both conjugation systems and is therefore essential for autophagy (Tanida et al., 1999, 2001).
オートファゴゾームの形成には、Atg12とAtg5、Atg8との2つのユビキチン様結合系が必要であり、Atg7は両方で必要な媒介でありオートファジーに必要不可欠である。
Mortensen M, et al. The autophagy protein Atg7 is essential for hematopoietic stem cell maintenance. J Exp Med. 2011 Mar 14;208(3):455-67.
またほかのたんぱく質として、p62やNbr1なども重要な矢植わりを果たすと報告されており、Atg7を欠損させるとp62が蓄積し、肝炎や神経変性疾患に至るなどといったことも報告されています。
参考: