こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

BMJクリスマス号2020~おもしろい医学論文~

Merry Christmas!

 

昨年もBMJクリスマスに関する記事を投稿しました。

 

teicoplanin.hatenablog.com

 

今年もいくつかの記事を読んでみます。

 

 

1.ホスピタルクラウンの存在によって入院中の小児患者の不安が軽減

なんとメタアナリシスでした。メタアナリシスできるくらい論文が出ていることに驚きました笑

 

  • Inclusion criteriaを満たした24もの文献が検証されました。多くは(13/24)RCTとのこと。
  • ストレス指標としてコルチゾールなどのバイオマーカーが使用された。
  • 親がいるいないに関わらず、ホスピタルクラウンによるケアを受けた子供は医療処置中の不安が大きく減少し、ストレス・倦怠感・痛み・苦痛などが大幅に改善したとの報告。
  • 医療処置、術前麻酔購入、慢性疾患のルーチンケアとしてホスピタルクラウンケアが有効である可能性がある。

 

2.医者の子供は医者になる?

  • スウェーデンの研究。1950-1960年に生まれた医師の家系を調査。
  • 医師のうち、両親のどちらかが医師の割合は、1950-59年生まれの意志の場合6%だったのに対し、1980-90年生まれの意志では20%と大幅に上昇。
  • 同様のパターンは弁護士には見られず。
    →つまり高給な職業だから「遺伝」するわけではない。

これは個人的には面白い文献でした。なぜ弁護士の子は弁護士にならず、医者の子は医者になるんだろうか…?完全に個人の考察ですが、例えば診療所や病院などは何年も、あるいは人によっては何十年も同じ病院に通ったりすることもまあまあありますが、弁護士は基本何年も継続的にお世話になるみたいなことはありませんよね?なので、実家が開業していたりするとなんとなく親から言われなくても無意識の内に「継がないと」という意識が働きやすくなるけど弁護士はそうではないのかな…?など考えたりしました。

 

3.クリスマスの害

クリスマスに伴って起きうる様々な疾病、傷害を紹介。

  • クリスマスカードに使われた塗料で急性ヒ素中毒に。
  • レターボックスに指を挟んで怪我をする可能性があるためクリスマスカードの投函もまた危険である。
  • クリスマス装飾を幼児が誤飲し、外科的切除が必要となる場合がある。
  • クリスマスツリー飾り付けで接触性皮膚炎が増加する。
  • クリスマスツリーの枝によって角膜剥離が起こることがある。
  • ツリーに飾るろうそくで火傷を負う可能性がある。
  • クリスマスプレゼントとして購入されたペットのハムスターによってニューヨーク州の57人がリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスに感染。
  • クリスマスディナーは短期的には心臓によいかも?6人の健康なボランティアの心拍出量を増加させた。
  • クリスマスは体重と血清コレステロールが増加しやすい時期。
  • スイスではクリスマスディナーのチキンフォンデュによってカンピロバクター感染が広がる懸念がある。
  • 飲酒によって心房細動が惹起される“holiday heart syndrome”が起きるかもしれない。この22%はクリスマスから元日にかけて起きたとの報告あり。
  • クリスマスのアウトドアアクティビティによって外傷が増加する可能性がある。