こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

公衆衛生レクチャーで学んだこと⑧~COIと出版バイアスについて〜

公衆衛生に関するレクチャーを受けました。それで新たに学んだこと、よくわからなくて後で調べたことなどをメモ的に書いていきます。

 

COIについて

Boyle RJ, et al.

Hydrolysed formula and risk of allergic or autoimmune disease: systematic review and meta-analysis.

BMJ. 2016 Mar 8;352:i974.

ペプチドミルクを乳児に飲ませるとアレルギーや自己免疫疾患になるリスクがあるか?<メタアナリシス>

メタアナリシスの過程でCOI分析を実施。

We modified the tool by including an assessment of conflict of interest, judged as low when there was no evidence of industry involvement in study design, analysis, interpretation, or publication and no evidence that study authors received remuneration from relevant industry partners for other activities.

研究デザイン、解析、解釈に企業が関与しておらず、企業のパートナーとしてあるいは他の活動を通して報酬を受け取っていないことが確認できたときにCOIの影響が少ないと判断した。

約8割もの文献でCOIが関与。

 

COIの概念は1980年代から確立。ここ20年ほどでかなり浸透してきたが、いまだ十分でないとの指摘も。2003年時点では、30-70%程度のでしかCOI開示を行っていなかったとの報告あり。

 

出版バイアスについて

ポジティブな結果が出た研究のほうが出版されやすい(アクセプトされやすい)傾向にあること。これを検証するためのいくつかの方法がある。

  • Funnel plot
    出版された文献のサンプルサイズとオッズ比・リスク比の関係をプロットしたもの。Funnelは漏斗という意味。出版バイアスがなければ両者に相関はなく万遍なくプロットされるはずだが、出版バイアスがあると非対称なプロット分布となる。

    f:id:teicoplanin:20201111164240j:plain

  • Begg's test
  • Egger test
    Funnel plotは視覚的なものなので、この非対称性を検定する方法がBegg's testやEgger test。Begg's testは治療効果と治療効果の分散、Egger testは治療効果と標準偏差の逆数の関係を見ている。出版バイアスがなければいずれも相関はないはず。相関があれば出版バイアスがあると判断される。