勉強したことのメモ。
Cai Z, Kotzin JJ, Ramdas B, et al.
Inhibition of Inflammatory Signaling in Tet2 Mutant Preleukemic Cells Mitigates Stress-Induced Abnormalities and Clonal Hematopoiesis.
Cell Stem Cell. 2018 Dec 6;23(6):833-849.e5.
- 炎症は癌の危険因子である。
- TET2遺伝子変異を持つ個人は白血病の前がん状態に相当するクローン性造血を示し、白血病発症リスクが10倍以上になる。
- TET2変異に伴う炎症の惹起が発がんに関与している可能性が指摘されており、この点を本論文では調査。
【Results&Discussion】
- TET2 KOマウスにLPSを投与し急性炎症ストレスを与える
→TET2 KOマウスの方がWTマウスより好中球数増加・HSC/HSPC増加
※感染時のHSC増加は緊急造血ともいわれる。
→TET2欠損時の方が急性炎症性ストレスに対する反応が強い(効率的)。 - またTET2欠損マウスHSPCの方が移植後再増殖能↑
(WTマウスのHSPCは炎症ストレスに弱いがTET2欠損マウスHSPCは耐性がある) - TET2欠損細胞の方がアポトーシスしにくく生存優位性がある。
Morrbidなどの生存促進遺伝子がTET2欠損細胞では発現増加している。また、Stat3(IL-6などにより活性化され、組織修復や発がんと関連している)の活性化に関与していることが分かった。 - TET2欠損マウスでは炎症サイトカインの発現が増強している。
- LPSはIL-6などの炎症性サイトカイン誘導を通して緊急造血などを誘発する。
→これをブロックすることができたら?
→選択的Shp2阻害剤(SHP099)あるいはStat3阻害剤(E3330)はIL-6誘発性の生存促進遺伝子Morrbidの発現を阻害することで、Tet2欠損HSPCの増殖を防ぐ効果がある。
→同様の効果はIn vivoでも観察できる。 - Morbidを遺伝的に欠損させると…Tet2欠損の効果が打ち消される。
→Morbidは一連の反応に必須の因子。