こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】食事制限によって健康的な加齢が達成できるのはSestrinのおかげ

Abstractだけですが文献紹介です。

 

新しく2021年から創刊される雑誌Nature agingに掲載されている記事です。できたてほやほやまだArticleも2個しかないよう。。。

 

Article
Published: 23 November 2020
Sestrin is a key regulator of stem cell function and lifespan in response to dietary amino acids
Jiongming Lu, Ulrike Temp, Andrea Müller-Hartmann, Jacqueline Esser, Sebastian Grönke & Linda Partridge
Nature Aging (2020)Cite this article

 

食事制限は様々な種で健康的な加齢を促す。必須アミノ酸が重要な役割を果たしていると考えられているがその分子機構は未だ不明である。近年Target of rapamycin complex 1 (TORC1)活性阻害因子であるSestrinタンパク質が体外におけるアミノ酸センサーとして発見された。今回我々はSestrinタンパク質変異体が食事制限による寿命の影響に関与していることを報告する。Sestrin変異体は、アミノ酸結合とTORC1を阻害し、細胞発達を遅らせ増殖力を減弱させ、寿命の延長に関与していることが分かった。Sestrinは、TOR経路とオートファジーを制限することによって、小腸幹細胞の活性化、腸管細胞のターンオーバー、食餌によるアミノ酸摂取に反応した幹細胞増殖を減弱させる。小腸幹細胞におけるSestrin発現は腸管の恒常性を維持し寿命を延長させる効果がある。Sestrinは食餌によるアミノ酸摂取と幹細胞機能などの分子機構を仲介する物質である。