こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

COVID-19に関する概説

COVID-19に関するレクチャーを聞いたのでそのまとめ。

 

 

SARS-CoV-2
・日本では10/29時点で致命率1.8%

【臨床像】

・潜伏期間5.2日;受診まで4-5日:入院まで9-10日
・発熱、咳嗽、倦怠感、食思不振が頻度の高い症状上位4位
・経過が特徴的;発症から7日程度で呼吸困難が出る。7-10日程度で重症化してくる。
・発症から
 0-7日:軽症(80%)
 7-10日:肺炎症状顕在化・入院(20%)
 10-日:一部は挿管などが必要に(5%)
・高齢者では入院・死亡リスクが激増。
・基礎疾患を有する患者ではやはり入院・死亡リスクが高い。
ARBはおそらく重症化にはつながらないだろうとされている。
・慢性症状=post viral fatigue syndromeも2-3か月持続するとの報告あり。
・慢性期症状として脱毛あり。

 

【検査】
PCR検査、抗原検査キット、抗体検査。
PCR検査は最大90日後まで陽性となるがこれが感染性を示すものではない。他の検査よりも感度が高い。
・抗原検査キットは偽陽性が問題となる。
・抗体検査は感染症流行の全体像を把握できる。しかし軽症者では時間とともに陰性化してしまうのでは、との報告も。
・検査検体都市はBAL液が最もよい(93%)。美咽頭スワブの検出率は63%しかない。
→疑わしい症例は隔離継続などの処置を。
PCR検査は最も偽陰性率が低い発症から7日程度でも20%ほどが偽陰性
・無症候者や軽症者では数か月程度で抗体は低下していくる。
・無症候者では4割が抗体陰性になってしまう。
・重症者での抗体推移は?抗体価は重症者の方が高い。しかし経時的には重症者も中等症者も低下していく傾向。

 

【治療】

・経過には3つのステージがあるが、Ⅰ-Ⅱで抗ウイルス薬、Ⅱ-Ⅲで抗炎症治療を行うことが推奨される。レムデシベル+デキサメタゾンなど。
血栓異常が見られることなどから抗凝固治療も推奨されるが、このエビデンスはまだ不明。
・中国で行われたRCTではレムデシベルの有効性示されず。→しかしこれは症例数少ない。
アメリカ・ヨーロッパ・アジアでのRCT→レムデシベル群で改善31%早い。ただし既に重症化している群ではあまり効果的でないでは、との報告。
・レムデシベル5日投与群では標準治療群より成績改善。しかし10日投与では標準治療と変わらず。
・WHOは有意差なしとの報告。
⇒レムデシベルの有効性はまだ結論出ておらず。

デキサメタゾンに関しては、酸素需要が必要となった時点で6㎎投与開始するというのが標準になりつつあると考えられる。
・コロナ回復者の血漿も有効かもしれない?


【感染対策】

・COVID-19の特徴は発症前に感染性ピーク
(発症1日前がピーク)
・ユニバーサルマスク戦略にて欧米では患者発生率減少。
・3密回避はとくに重要。