文献紹介です。今回はAbstractのみ、次回本文を紹介したいと思います。
Ivanovs A, et al.
Vast Self-Renewal Potential of Human AGM Region HSCs Dramatically Declines in the Umbilical Cord Blood. Stem Cell Reports.
2020 Oct 13;15(4):811-816.
造血幹細胞(HSC)は、カーネギーステージ(CS)に大動脈・性腺・中腎領域(aorta-gonad-mesonephros region ; AGM領域)から発生する。過去の文献で我々は、このHSCは少なくとも300個のHSC娘細胞を生成すると報告したが、その実際の数は明らかでなかった。今回我々は、単一のAGM領域で600-1600個の機能的娘HSC細胞を得られることを発見した。CS17肝において、肝臓コロニー形成の後に自己複製能が減弱するという興味深い現象を確認した。臨床的観点から、長期造血再構築能はHSCの自己複製能に依存していると考えられる。AGMにおけるHSCと比較し、臍帯血におけるHSCの自己複製能が大きく減弱するということを今回量的に提示する。初期ヒト胚におけるHSCが有する多大な潜在的再生能を十分に理解することで、多能性幹細胞から臨床的に有用なHSCを生成する新たな方法を構築することができよう。