こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

いろいろなアガロースゲル

以前、アガロースゲル作製についての記事を書きました。

 

teicoplanin.hatenablog.com

 

それに関連した記事なのですが、ラボで使っているいろいろなアガロースゲルを紹介します。あくまで個人的感想と思ってください。

同じ濃度で作っているはずなのに、硬さに差があったり、同じ電気泳動時間で同じ分子量のものを流していていも移動距離が異なるといったことがよくある気がします。

ちなみに硬さ(=弾力?)でいうと ニッポンジーン>AMRESCO=Thermo Fisher

価格で言うと ニッポンジーン<Thermo Fisher≒AMRESCO

です。

 

1.Agarose S(ニッポンジーン)

個人的な意見ではありますが、今回紹介する3つの中では一番バンドがきれいに出る気がします。1.5-1.7%で作るとゲルはとてもしっかりした印象で弾力があり、少々雑に扱っても破れたりはしません。他の2つは価格はこれより高いですが、同じ濃度で作成してもボロボロ崩れてしまったりする印象です。これを一番よく使っています。

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ちなみに低融点タイプのAgarose L、Agarose XPというのも同じメーカーから出ていますが、これは使ったことがありません。

 

泳動後に核酸を回収したいときには低融点アガロースを用いることが一般的なようですが、私は拡散回収が必要なときも上記を利用しています。それほど大きな支障はない印象です。

 

2.Agarose SFR(AMRESCO)

こちらは低融点アガロースです。前述のとおり、低融点だからなのか関係あるか分かりませんが、比較的高めのアガロース濃度でゲルを作成してもゲルが緩い印象で、端っこなどがすぐに崩れてしまいます。

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3.UltraPure™ Low Melting Point Agarose(Thermo Fisher)

こちらも低融点です。やはり丁寧に扱わないとすぐに崩れたり千切れたりしてしまう印象です。なんとなくですがバックグランドも上記に比べるときれいではないような気もします。

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◆◆追記◆◆

同じ濃度1.7%でゲルを作成し、同じサンプルを同じ条件の電気泳動を行ったものです。

 

ニッポンジーン↓

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Thermo Fisher↓

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バックグラウンドはニッポンジーンの方がなんとなくキレイな(ゴミ?が少ない)気がしますね。いろんな条件に左右されるとは思いますが、あくまで参考までに。。。

 

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今回は短めですが以上です。私個人的には、価格や扱いやすさなどの点からニッポンジーンのものがおすすめな気がします。もちろんきれいなバンドを出すためには他の要素もあり、またなんのために電気泳動するか(その後拡散取り出しが必要かなど)によっても選択するアガロースは異なってくると思いますが、あくまで参考までに。。。