PCR後検体などをアガロースゲル電気泳動したあとにバンドを見たいとき、エチジウムブロマイドで染色を行い、目的のDNA検出を行います。
今回は、その仕組みを解説しつつ、電気泳動の流れを示したいと思います。
- アガロースゲルを作成。
→作成法は以下の記事参照
- ゲルのウェルにラダーと流したいサンプルを入れる。入れる量は、ウェルの大きさによって異なるが、5-15μlの間程度。ウェルに合わせて微調整。
※ゲルローディングダイはだいたいサンプルの1/5程度の量。たとえば20μl/tubeでPCRを行った場合、PCR後のDNAサンプルも20μlであり、ゲルローディングダイは4-5μlほど入れ、ウェルには10μlほど入れる(=アプライする)。 - 電気泳動:専用の泳動機にゲルを入れ、TAEで満たし、泳動開始。
「超実践バイオ実験イラストレイテッド」によると、泳動の電圧は、電極板の距離1cmあたり5V程度で流すとのこと。
私は、先輩に教えてもらった100V 25-30minでいつも泳動しています。
泳動時間は、流すDNAの大きさやゲルの濃度などによって変わってくるため、よくわからないときは時々、流れすぎていないか確認する。 - 染色:タッパーなどにエチジウムブロマイドを溶かした溶液を入れ、その中にゲルを入れ、15-20分ほど待つ。
このとき、DNAを検出する蛍光試薬であるEtBrが、二本鎖DNAの隙間に入り込み、紫外線を照射すると発行する。
※EtBrのみでは、紫外線を当てても発光しない。
※EtBr濃度は、蒸留水またはゲル緩衝液中に0.5~1 µg/mlほど。 - 観察:トランスイルミネーターなどで紫外線を照射し、バンドを検出。照射時間も実験条件によって異なるが、だいたい1-1.5秒程度。
※ここでバンドが薄いときは…
1.紫外線照射時間を長くする
2.EtBr染色を長くする(追加で5-10分程度浸す)
などの対処をする。
電気泳動後、アガロースゲルからDNAを抽出、回収する方法については以下を参照ください。
【実験プロトコール】アガロースゲルからのDNA抽出・回収 - こりんの基礎医学研究日記
以上です。上記は「後染め」と言われる方法で、先にEtBrをアガロースゲルに添加しておく「先染め」という方法もあるそうです。
これはやったことがないので、どちらがいいのかはわかりません。
またEtBrには発がん性があるようなので、取扱い時には手袋必須です。上記のDNAの隙間に入り込む作用によって、DNA複製障害や発がんにつながるようです。しかしWikipediaによると直接の証拠はないようです…。
参考:
https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/agarose-gel-electrophoresis.asp?entry_id=14478
http://www.lonzabio.jp/tech/pdf/tech_56.pdf
https://www.yodosha.co.jp/bookdata/9784758107327/9784758107327_column1.pdf