こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【実験プロトコール】LB培地&LB寒天培地の作り方

本日はシンプルな内容です。LB培地と寒天培地(LBプレート)の作り方です。

 

 

1.LBとは?

そもそもLBとはなんだろうと思い調べてみました。

 

細菌用富養培地の1つで大腸菌などの培養に用いられることが多いとのことでした。組成は以下の通りです。

 

LB 培地の組成は、以下のように単純である。NaCl 濃度が異なる 3 通りの LB 培地がよく知られている。これにグルコースを加えることもある。水酸化ナトリウム sodium hydrogen を使って pH を調整する。

Miller の LB 培地 Trypton 1%, Yeast extract 0.5%, NaCl 1%
Lennox の LB 培地 Trypton 1%, Yeast extract 0.5%, NaCl 0.5%
Luria の LB 培地 Trypton 1%, Yeast extract 0.5%, NaCl 0.05%

 出典:

https://ultrabem.com/reagents/l/lb_medium

 

上記ホームページに作り方も書いてあります。

 

液体 Miller LB を 1 L 作る場合

  1. 950 mL の蒸留水をビーカーにとる。
  2. Trypton 10 g, Yeast extract 10 g, NaCl 5 g を加えて溶かす。必要な成分が予め混ぜられている製品もたくさんある。
  3. 1 N NaOH を 1 mL 加える。*1
  4. メスシリンダー measuring cylinder に入れ、蒸留水で 1 L にする。このとき、ビーカーをすすいで壁面についた培地も回収する。
  5. メディウム瓶に移してオートクレーブ。オートクレーブの際は、蓋をゆるく締めておくこと。

出典:

https://ultrabem.com/reagents/l/lb_medium

 

私はいつも市販LB粉末を使用しています。

 

2.LB培地の作り方(1L)

  1. 1Lが入る耐熱容器を用意する。
  2. 蒸留水1LとLB粉末25gを入れる。
  3. オートクレーブ15分間。オートクレーブ時は容器の蓋を緩める。

以上です。シンプルですね。ラボ内では常温保存している先輩もいますが、だいたいの人は4℃で保存しています。

 

3.LB寒天培地の作り方(100ml, 10㎝プレート5枚分ほど)

  1. 300ml三角フラスコを用意
  2. 蒸留水100ml、LB粉末2.5g、Agar粉末1.5gを入れる。
  3. オートクレーブ15分間。
  4. ある程度冷めたところで(あるいは冷水で冷やすなどして, 50-60℃程度まで冷めたら)抗生剤を添加。
    (当ラボではカルベニシリン1000倍希釈→つまり今回の場合は100ul)
  5. 10㎝プレート5枚に分ける(プレートに注ぎ入れる)。
  6. ラップなど上からふわりとかけ、ほこりが落ちないようにして冷やして固まるまで待つ。
  7. 固まったら乾燥しないようにラップなどで包み、プレート面が下になるように4℃で保存。

※アンピシリンの場合は、最終濃度50ug/mlとなるようにするとのこと。

 

どのプロトコールを見てもだいたい手で触れるくらい冷めた状態(50-60℃)になってから抗生剤を入れる、とありますが、これの根拠は今一つ不明でした。

 

抗生剤が高温で失活しないようにとのことのようですが、よく使われる抗生剤であるアンピシリンもカナマイシンも100℃ほどの高温でも安定のようです。慣習的なものなのでしょうか。

(酵素を添加する場合は、失活してしまうため高温ではいれてはいけないとのことでした)

 

あつあつの状態でアンピシリンを添加しても問題なかった、といったネット記事がいくつか見つかりました。

 

中には、オートクレーブではなく電子レンジで加熱するのみというのも見つかりました。滅菌していないわけですが、コンタミはなかったとのことです。意外と大丈夫なのかもしれません。

LB アガロース プレートの作り方 (投稿者:L.L.) | 試薬調整 | Linked Lab

 

今回は以上です。