こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポート】成人T細胞性白血病リンパ腫へのmogamulizumab投与

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

★Mogamulizumabを用いた成人T細胞性白血病リンパ腫(ATL)

 

・Mogamulizumab=抗CCR4モノクローナル抗体。同薬は2012年にaggressive ATLに対する単剤投与が有効であることが報告された。(1)

・その後さらにVCAP-AMP-VECP療法にmogamulizumabを上乗せすることで寛解率(33% vs 52%)や全奏効率(75% vs 86%)が上昇することが示された。(2)

・CCR4はregulatory T細胞にも発現しているため、これを数か月間抑制することによりGVHDの悪化や生着不全が生じる懸念があり、実際にmogamulizumab使用患者で明らかに移植後GVHD関連死が増えることを示す報告もある。(3)

・このため移植を予定している患者には投与は見送られる場合がある。

・2週間毎8回の投与がしばしば行われる。(2,3)

・経過中に皮膚障害を生じるばあいがある。この機序は未だ明確には不明だが、皮膚障害が見られた群の方が予後良好であるとの報告もあり(4)、ステロイド投与で皮疹が消褪することを確認し継続するなどして臨床では利用される。


1. Ishida T1,et al. J Clin Oncol. 2012 Mar 10;30(8):837-42.
2. Ishida T, et al. Br J Haematol. 2015 Jun;169(5):672-82.
3. Fuji S, et al. J Clin Oncol. 2016 Oct 1;34(28):3426-33.
4. Ishida T, et al. Cancer Sci. 2017 Oct;108(10):2022-2029.