こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポートメモ】ランゲルハンス組織球症

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

★ランゲルハンス組織球症(LCH)

・LCHは、骨髄に起源を有する抗原提示細胞の1つであるランゲルハンス細胞が単クロー ン性に増殖することによって生じ、腫瘍性疾患としてのコンセンサスが得られている。(1,2)

・日本での年間発症数は約40例と希少な疾患である上(1,2)、 浸潤臓器によって症状が多岐にわたるため、診断はしばしば困難である。

・単一臓器のみに病変がある(主に骨病変)単一臓器型と、多臓器に病変がある多臓器型に分類され、LCH全体の死亡率が7-8%なのに対し、多臓器型では17%と予後が悪いとされている。(2)

・中枢性尿崩症の合併がしばしば見られ、成人LCHの29.6%に合併するという報告もある。逆に中枢性尿崩症を発見した場合、LCHの最初の症状となっている可能性があるため、精査を検討すべきである。(3)

・尿崩症は不可逆的との報告もあるものの有効な処置気治療を行えばその発症を抑制できる可能性も示唆されており早期診断は重要である。(2,3) 

・成人LCHに効果的な全身療法は十分に確立しているとは言えないものの、日本ランゲルハンス細胞組織球症研究グループは外来治療が可能であるSpecial Cレジメンの有効性を報告している。(4)

・Special Cは、特に多病変単一臓器型で有効とされているが、多臓器型でも半数は有効とされており、外来治療が可能であるという利便性を考慮しても最初にトライするレジメンとして適当な場面が多いと言える。(4,5)

・Second lineとしては、難治/再発例への有効性が報告されている2CdA単剤療法が選択されることがある。(5)

1. 大久保淳ら. 日小血会誌. 22: 354-359, 2008.

2. 生嶋聡ら. 日小血会誌. 16: 135-142, 2002.

3.Brys ADH et al. Neth J Med. 2018;76(10):445–449.

4. Morimoto A, et al. Int J Hematol. 2013 Jan;97(1):103-8.

5.Saven A, et al. Blood. 1999;93:4125-4130