フローサイトメトリーの原理を知りたいという方の中には、基礎系の方と臨床系の方がいるかと思いますが、できるだけどちらでも役立つようにお話してきたいと思います。
フローサイトメトリーとは
細胞1つ1つをバラバラにしてその特徴を解析する機械・方法のことです。
分かりにくいので、フローサイトメトリーがよく使われる場面を例に考えてみます。
ある患者さんの首のリンパ節がどんどん晴れて大きくなってきたとします。医者は「もしかしたらリンパ節が癌になってしまっているのではないか?(つまり「悪性リンパ腫」になってしまっていないか?)」と心配します。
これを確かめるためにどうするか…というとリンパ節を手術で切除し(比較的簡単な手術です)、これに悪性の細胞が多いかどうかを調べます。
切除したリンパ節を細胞1つ1つバラバラにして顕微鏡で観察してみるとします。
もしリンパ節が癌だったら、いびつな星形の細胞が多く見られると仮定します。
しかし1つ1つ人の目でチェックするのは大変です。リンパ節1個分となると細胞は数千個か数万個あるはずなので、たとえば「○%がいびつな細胞だった」などとするのは非常に大変です。
また特徴がいくつもある場合、例えば「細胞に試薬Aを振りかけたとき青色になり、試薬Bを振りかけた時に緑色になり、試薬Cをかけたとき黄色になるのが癌細胞」だとするとこれを全部の細胞でチェックするのは大変です。
これをやってくれるのがフローサイトメトリーです。
たとえば、いびつな星形細胞だけ赤く光るような試薬を入れます。
細胞をすりつぶしたものをフローサイトメーターに入れます。そうするとフローサイト―メーターの中で細胞は1個ずつ1列に並ぶような形になり、レーザー光が1個1個の細胞に充てられます。
レーザー光の跳ね返り方が異なるため、これを利用し赤い細胞がどのくらいいるかを調べます。
フローサイトメトリーの結果は上記のように点々で表されますが、1個1個が細胞1つに1つに対応しています。
フローサイトメトリーの結果はだいたい十字で区切られ4区画あるのですが、今回は簡単のために2区画だけで考えます。細胞が赤っぽいと点は十字で区切られた図の右側に行きます。
上図だと、左の結果では赤い細胞が多いため癌の可能性が高く、右の結果はその逆です。
今回は以上です。今度また続きを書きたいと思います。