こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】合成転写因子を使用した繊維芽細胞のオリゴデンドロサイト前駆細胞用細胞への再プログラミング

本日も文献紹介です。今回はAbstract訳出のみです。。。

 

ARTICLE| VOLUME 13, ISSUE 6P1053-1067, DECEMBER 10, 2019
 

Reprogramming of Fibroblasts to Oligodendrocyte Progenitor-like Cells Using CRISPR/Cas9-Based Synthetic Transcription Factors

Open AccessPublished:November 07, 2019

 

Abstract

鍵となる制御転写因子の導入遺伝子過剰発現によって細胞系統を再プログラミングするという方法は十分に確立されている。しかし、この方法は効率が悪く再現性が低いという問題がある。合成転写因子(Synthetic transcription factors=sTFs, CRISPR/Cas9 systemによって作成された)は直接分化に導く内因性ターゲット遺伝子を活性化したり、細胞系統の再プログラミングのトリガーとなったりすることができる。今回我々は、合成転写因子sTFsを用いて、マウスの神経幹細胞や繊維芽細胞をオリゴデンドロサイトへと系統変換させることができるかを検証した。我々は、3つの重要なオリゴデンドロサイト系統マスタ制御遺伝子(Sox10, Olig2, Nkx6-2)の転写活性化が可能なsTFsプールの多重輸送を、非ウイルス性モジュラー発現システムを開発することによって実現した。このsTFs輸送は、神経幹細胞の分化を促進し、マウス繊維芽細胞のオリゴデンドロサイト前駆細胞用細胞への直接的再プログラミングを促進する可能性がある。我々の発見は、内因性遺伝子を活性化し、哺乳類細胞型のアイデンティティを指示するツールとしてのsTFsの価値を示している。