久しぶりに実験プロトコールです。
今回は、例えばラボの先輩や他の人にもらったDNAをもっと増やしたい!といった時の方法です。
大まかな流れとしては、
トランスフォーメーション
↓
ラージプレップ
(増やした大腸菌からDNAを回収する)
といった感じです。
実はトランスフォーメーションもラージプレップも既に記事があり、それらと内容としては重複する部分も出てきますが、今回は主に全体の流れに重点を置き紹介していきます。
この目的は、自分の頭の整理・知識の確認の他に、いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」的な、文献や教科書に載っていないけど知ってるとちょっと役立つようなことを記録しておくことです。
正確性には注意を払っておりますが、 利用の際はご注意ください。
1.トランスフォーメーション
大腸菌の中にDNAを入れます。前回のブログで紹介したものとはやや異なります。NEB 10-beta Compitent E.coliというのをコンピテントセルとして利用しており、これに付属しているプロトコールに沿って行っています。
- -80℃で保存しているコンピテントセルを取り出し、5-10分ほど氷上解凍。
- コンピテントセル20-30μlに目的のプラスミド1μl(1-10μl=1-10ng:量はコンピテントセルの5%以下になるように)を入れる。4-5回ほどタッピングする。
※Vortexは禁止!!(コンピテントセルには強い衝撃を与えない方がよい) - 氷上で30分静置。(ヒートブロックを42℃に温めておく)
- ヒートブロック42℃に30秒間置き、すぐに氷上へ。【ヒートショック】
- 氷上5分静置。(数秒で良いという先輩も)
- キット付属の後培養培地を950μl入れ、37℃ 60分振盪培養。
- アンピシリン添加寒天培地に撒き、37℃インキュベーション(オーバーナイト)
※寒天培地のへの細胞の撒き方
①放射状
②半分ずつ
どのくらいコロニーが生えるか分からないので、均一に培養液を膜のではなくて、培養液が濃いところと薄いところができるようにする。このようにするとコロニーが高密度で生えてもそんなに生えなくても、1個1個の独立したコロニーができやすくなり、のちにコロニーを広いやすい。
コロニーはいくつもくっついているところではなく単一の箇所を拾う。
放射状に撒くより半分ずつ濃度が濃い箇所と薄い箇所を作る方が簡単だと思われる。(写真参照)
2.コロニーピックアップ~ラージプレップ前培養
37℃オーバーナイトで培養すると翌朝にはコロニーが生えています。
生えているけれどもとても小さい時は培養時間を延長すると良いかもしれません。
上述の通り、1つだけのコロニーをイエローチップでつつきます。
それを、LB培地1ml(1000倍希釈アンピシリンを添加。つまり1mlのLB培地であればアンピシリンは1μl)にイエローチップごと落とし、37℃ 7-9時間振盪培養。
培養したあとにチューブ内の液を観察し、混濁しているものを使用。例えば写真↓の両脇のチューブはあまり混濁していないので使わない。
以下の混濁した溶液100-300μl(次に使用するLB培地の量に応じて適宜調整)を滅菌済み三角フラスコに100mlLB培地+100μlアンピシリン(1000倍希釈)とともに入れ、37℃で12-16時間振盪培養。この培養によって大腸菌を増やす=目的のDNAを増やす(培養時間を長くしても大腸菌は無限に増えるわけではなくどこかのポイントでプラトーに達する)。
→ラージプレップへ!!