こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

レナリドミドの皮疹

レナリドミドは多発性骨髄腫の主要な治療薬の1つ。骨髄異形成症候群やマントル細胞リンパ腫で使用される。

 

レナリドミド(LEN)の代表的有害事象の1つである皮疹(skin rash)について取り上げる。

 

  • 皮疹はLEN使用者の最大1/3で見られる。(一般的に22~33%)
  • Grade3以上は比較的まれであり1~6%程度。
  • 皮疹は早期中止・減量の主な原因となる。しかし永続的な中止の原因にはほぼならず重篤でないものが多い。
    ※永続中止の最多原因は血液毒性。
  • 非重症皮疹によるLEN中止のほとんどは、治療開始後8週間以内に発生。

Tinsley SM, Kurtin SE, Ridgeway JA. Practical Management of Lenalidomide-Related Rash. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2015 Jun;15 Suppl:S64-9. 

 

皮疹が発症しやすい患者として高齢(70歳以上)、化学療法歴がない、BJPサブタイプなどが挙げられる。

Sugi T, et al. Analysis of risk factors for lenalidomide-associated skin rash in patients with multiple myeloma. Leuk Lymphoma.

 

皮疹を発症する患者の方が予後が良好

  • 日本の9病院​​でレナリドミドの投与を受けた多発性骨髄腫患者を解析。
  • 215人の患者(年齢中央値69歳)が該当。65人(30.2%)で皮疹発症、皮膚出現までの期間中央値は12日。
  • PFS、OSともに皮疹歴のある患者の方が有意に良い。

Ayumi Kojima, et al. Multiple Myeloma Patients with Lenalidomide-Associated Skin Rash Have a Favorable Prognosis. Blood (2016) 128 (22): 4532.

CMLの治療をやめられるとき

慢性骨髄性白血病(CML)患者は以前は生涯TKI内服を継続しなければならなかたが、近年ではTKI治療中止が新たな目標となっている。

 

CML患者の平均余命は一般集団に近づいている。

Bower H, et al. Life Expectancy of Patients With Chronic Myeloid Leukemia Approaches the Life Expectancy of the General Population. J Clin Oncol. 2016 Aug 20;34(24):2851-7. 

 

TFR=treatment free remissionにできる条件

  • 少なくとも5年以上の治療、最低2年以上の深い奏功=deep molecular response (DMR; molecular response 4.5 [MR4.5])
  • 直近2年間で最低3ヵ月以上期間をあけPCR検査を行い最低4回以上DMRが達成されている

Pavlovsky C, et al. Treatment-free remission in patients with chronic myeloid leukemia: recommendations of the LALNET expert panel. Blood Adv. 2021 Dec 14;5(23):4855-4863. 

 

近年行われた中で最大のTKI中止試験であるEURO-SKI試験では約50%の患者が治療中止後2年間経過しても寛解を維持したと報告している。

 

以下は別の文献より引用

出典:Delphine Rea, Handling challenging questions in the management of chronic myeloid leukemia: when is it safe to stop tyrosine kinase inhibitors?, Blood Adv, 2020, 

 

治療中止後晩期再発の可能性は?

Rousselot P, et al. Late molecular recurrences in patients with chronic myeloid leukemia experiencing treatment-free remission. Blood Adv. 2020 Jul 14;4(13):3034-3040. 

  • 治療中止時に患者らは中央値7.1年の治療を受けており、BCR-ABL1IS ≤0.01% (MR4) を4年維持していた(中央値)。
  • 治療中止を継続できる割合は7年間で45.6%。
  • 晩期再発は中央値3.6年で起きる。
  • 2回連続でBCR-ABL1 IS>0.0032%となるか、MR4でなくなくなるかの患者がTFRを継続できる割合は65.4%。
  • 治療を終了しても長期的なモニタリングは必要。

 

 

再発難治性多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ

イサツキシマブは、ダラツムマブの次に登場した抗CD38モノクローナル抗体製剤。

造血器悪性腫瘍の腫瘍細胞表面に高頻度に発現するヒトCD38抗原に結合することで、抗悪性腫瘍効果を発揮する。補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貧食(ADCP)作用などにより腫瘍の増殖を抑制するとともに、アポトーシス誘導やCD38の細胞外酵素活性阻害作用なども有している。

引用:「【新薬】イサツキシマブ(サークリサ)多発性骨髄腫を治療する2番目の抗CD38抗体製剤」

medical.nikkeibp.co.jp

 

ダラツムマブが初回治療から使用できるのに対してイサツキシマブは少なくとも2つの標準治療が無効な場合に使用可とされている。

 

いくつかの臨床試験を紹介。

 

Isatuximab, carfilzomib, and dexamethasone in relapsed multiple myeloma (IKEMA): a multicentre, open-label, randomised phase 3 trial

Moreau P, et al. Isatuximab, carfilzomib, and dexamethasone in relapsed multiple myeloma (IKEMA): a multicentre, open-label, randomised phase 3 trial. Lancet. 2021 Jun 19;397(10292):2361-2371.

  • 302例の再発難治多発性骨髄腫患者を対象とした前向き無作為化多施設非盲検試験。
    ※18歳以上で、 1-3ラインの治療歴を有する患者で、血清または尿中のM蛋白質が測定可能である症例。
  • IsaKd(179例) vs Kd(123例) → 無増悪生存期間はKd群が中央値19.5か月だったのに対し、Isa群では未到達
    →つまり観察期間よりも無増悪生存期間が長いということ。
  • HR 0·53 (99% CI 0·32-0·89; one-sided p=0·0007)
  • Isa群では有意にInfusion reactionが多かった(46% vs 3%)。しかしその他の有害事象に有意差なし。
  • VGPR以上の奏功: Isa群72.6% vs Kd群56.1%
  • MRD 陰性完全奏効率: Isa群29.6% vs Kd群 13%

 

次に日本から発表された論文

Real-world clinical outcomes in patients with multiple myeloma treated with isatuximab after daratumumab treatment

Kikuchi T, et al. Real-world clinical outcomes in patients with multiple myeloma treated with isatuximab after daratumumab treatment. Ann Hematol. 2023 Jun;102(6):1477-1483. 

  • ダラツムマブ治療が失敗した患者にしばしばイサツキシマブが用いられるが、同じCD38抗体製剤を使用して効果があるのか?を検証。
  • ダラツムマブ治療後にイサツキシマブ治療を受けた39症例を解析。
  • 最終のダラツムマブ投与からイサツキシマブ投与までの期間中央値は6.3か月。ブリッジング治療として使用された薬剤は、Pom、K、VTD-PACE、Eloを含むレジメンなど。
  • 追跡期間の中央値は8.7か月、全体的な奏効率は 46.2%。
  • 1 年の全生存率は 53.9%、無増悪生存期間の中央値は5.6か月。
  • Dara-Isa間が3カ月未満とPFS増悪と関連している。過去の研究では6ヵ月以上だとコントロール良好である可能性が示唆されている。しかし本研究では3カ月以上空いている患者でもPFSは6.4か月と決し奏功はよくなく、CD38抗体製剤の連続使用はあまり勧められないかもしれない。
  • PIs, IMIDs, and Daraの3剤に抵抗性の患者の予後は非常に悪い。このような患者にはIsaも無効かもしれない。CAR-Tなどを検討する可能性がある。
  • 同じく高LDHの患者に対する奏功も乏しくあまり推奨されない。

 

AML治療の新しい鍵:ベネクレクスタを用いた治療について

近年頻繁に使われるようになったベネトクラクスを用いたAML治療に関するいろいろをメモ的に集約します。

 

ベネトクラクスとは

BCL-2阻害薬。腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。

  • BCL-2は通常は細胞内のミトコンドリアに存在しており、アポトーシス抑制作用がある。
  • 腫瘍細胞ではBCL-2が過剰発現しており、アポトーシスが抑制されることで無制限増殖につながる。
  • もともと慢性リンパ性白血病(CLL)患者ではBCL-2が過剰発現していることが知られており、60%の患者の末梢血リンパ球でBCL-2タンパク質が過剰発現しているとの報告もある。
  • ベネトクラクスはBCL-2タンパク質に直接結合し、アポトーシス促進タンパク質を遊離させ、アポトーシスを促進することで抗腫瘍作用を示す。

参考:A-CONNECT™ホームページ

 

アザシチジン(AZA)との併用による急性骨髄性白血病(AML)治療

  • 2020年にAZA+Venによる未治療AML患者治療第1b相試験の結果が報告された。強化化学療法不適格患者431例に対して、AZA+Ven群286例 vs AZA+プラセボ群145例で比較
    OS 14.7か月 vs 9.6か月でVen群の方が有効。寛解率(完全+部分)もVen群で多い。
    N Engl J Med 2020; 383 : 617 - 29. 
    ※AMLに対するVen単独療法は満足な結果が得られなかった。
  • 若年者おいてIDA+Ara-Cなど既存の標準AML治療をVenを組み合わせて寛解率を上げられないかという臨床試験も行われている。

El-Cheikh J, Venetoclax: A New Partner in the Novel Treatment Era for Acute Myeloid Leukemia and Myelodysplastic Syndrome. Clin Hematol Int. 2023 Jun;5(2-3):143-154. 

 

ベネクレクスタの容量と投与期間について---短くてもOKかも

  • ベネクレクスタベース治療患者は血球減少がしばしば問題となり、これに起因する真菌感染症が起きうる。
    ※しばしばアゾール系抗真菌薬が予防・治療に用いられるが、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾールなどの特定のアゾール系抗真菌薬とベネトクラクスを併用すると、P450 3A 阻害作用によりベネトクラクスの血中濃度が上がるなど重大な相互作用が起きることがある。このためこれらの薬剤と併用時は減量が必要となる。
    フルコナゾール併用時 200㎎/day
    ポサコナゾール併用時 50~70㎎/day
    ボリコナゾール併用時 100㎎/day
  • ベネトクラクスの投与期間を短くするという方法も有効な可能性がある。
    標準的には28日間投与だが、7、14、21日間投与についても検討されている。反応が良好な患者に対しては、7日間投与とした場合では28日間投与より有害事象は少なく奏効率も許容できる範囲内だったとの報告あり。
  • 別の試験(Aiba M, et al. Shorter duration of venetoclax administration to 14 days has same efficacy and better safety profile in treatment of acute myeloid leukemia. Ann Hematol. 2023 )では14日間投与も28日間投与もCR率に有意差なしとの結果。さらに14日群の方が、WT1陰性達成率が高いとの結果も示された(50% vs 20%)。これは28日投与群の場合、血球減少のため次サイクルを開始できない場合が多かったが、14日投与群では(血球減少が軽度であるため)治療の遅れがなかったためではないかと考えられる。
  • その後に行われた試験(Mirgh S, et al. Hypomethylating agents+venetoclax induction therapy in acute myeloid leukemia unfit for intensive chemotherapy—novel avenues for lesser venetoclax duration and patients with baseline infections from a developing country. Am J Blood Res. 2021;11(3):290–302.)でもVen期間短縮が治療反応性を維持したまま早期血球回復につながる可能性を示唆した。
  • Ven耐性となった患者は予後不良。治療途中に効果が出なくなる場合もある。一般的にFLT3、TP53変異があるなど予後不良AMLの場合はVenに対しても反応不良な可能性が高い。
  • Venによる血球減少はG-CSF投与が有効である可能性がある。

El-Cheikh J, Venetoclax: A New Partner in the Novel Treatment Era for Acute Myeloid Leukemia and Myelodysplastic Syndrome. Clin Hematol Int. 2023 Jun;5(2-3):143-154. 

 

Ven+AZAは奏功までに時間がかかる場合もある

VIALE-A/VIALE-C studyにおける治療反応までの期間を分析

  • 2サイクル以下で反応した患者を早期反応者、それ以降で反応した患者を後期反応者と定義。
  • CR/CRiを達成した患者のうち65%が1サイクル以下で反応、76%が早期反応者。
  • 3サイクル目以降で反応した患者のうち74%は3~4サイクルで反応、9%は5~6サイクルで反応、11%は7サイクル以降で反応。
  • OS は早期反応者も後期反応者も同等であり、不応患者を明らかに上回る。
    治療反応が遅くとも、最終的に奏功すればOSは早期反応者と同等。

 

Ven+AZAはいつまで続ければよいか?

  • 65歳以上未治療AML患者で、少なくとも12ヵ月以上のVenベース治療を受けた患者を対象(29人)に研究。13人の患者(45%)が治療を選択的に中止、16人(55%)は疾患進行まで治療を継続し、それぞれSTOPコホートとCONTコホートとした。
  • STOP群OS中央値は 71.3 か月、CONT群では43.7 か月(p=0.023)
  • NPM1 or IDH2 mutationがあり、最低12カ月以上の治療を受けており、MRD陰性の患者は治療をやめられる可能性がある。
  • 調整後の無再発生存期間は両群で有意差なし。

Chua CC, et al. Treatment-free remission after ceasing venetoclax-based therapy in patients with acute myeloid leukemia. Blood Adv. 2022 Jul 12;6(13):3879-3883. 

予後良好DLBCLの化学療法はR-CHOP4コースでOK

2022年より国内承認されびまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)の標準治療はR-CHOP療法からPola-R-CHP療法となった。当院でも基本的にDLBCLの方はPola-R-CHP6コース+R2コースで治療している。

 

しかしLow risk DLBCLの場合は、Pola-R-CHPの方が有意と言うわけではなくR-CHOPのみでも差はないのではと今のところ考えられている。で、もっと短くてもいいかもしれないというのがFLYER試験である。

 

2018年のASH、2022年のLancetに発表されている。

The Lancet
Volume 394, Issue 10216, 21 December 2019–3 January 2020, Pages 2271-2281
Journal home page for The Lancet
Articles

Four versus six cycles of CHOP chemotherapy in combination with six applications of rituximab in patients with aggressive B-cell lymphoma with favourable prognosis (FLYER): a randomised, phase 3, non-inferiority trial

  • 他施設非盲検ランダム化試験。(非劣勢試験)
  • CD20-positive B-cell lymphomaの患者。
  • 18~60歳、StageI-II、PS0-1、LDH正常範囲、Bulky massがない患者(腫瘍最大径7.5㎝未満)を対象とした。
  • 21日間を1サイクルとして6サイクルR-CHOPを行う群(6×R-CHOP群)と4サイクルR-CHOPを行った後、2サイクルリツキシマブのみを投与する群(4×R-CHOP+2×R群)に1:1で割付。ITT解析。
  • 精巣リンパ腫、頭蓋顔面、上部頸椎浸潤のある患者、 Burkitt or Burkitt-like lymphomaはCNS予防(MTX IT)行われた。
  • 除外基準:CNS浸潤がある患者、Primary CNS lymphoma患者、心臓・肺・肝臓・腎臓の著明な機能低下、既知の薬剤過敏、血球減少(WBC2500未満、10万未満)、活動性肝炎、HIV感染者、過去の化学療法・放射線治療歴(血液腫瘍以外の悪性腫瘍含む)、妊娠中・授乳中、他の臨床試験への参加、免疫抑制治療、他の悪性腫瘍治療中
  • 592例が登録、588例(4サイクル群293例[年齢中央値 49歳、女性 40%]、6サイクル群295例[47歳、39%])がITT解析の対象となる。
    ※85%がDLBCL
  • 3年PSF:4サイクル群96% vs  6サイクル群94%
    →群間差は3%で。95%CIの下限値は0%であり、非劣性マージン(-5.5%)よりも高く、4サイクル群は6サイクル群対して非劣性。
  • CR:4サイクル群91% vs  6サイクル群92%
    PR:4サイクル群3% vs  6サイクル群4%
    3年EFS:4サイクル群89% vs  6サイクル群89
    5年OS:4サイクル群97% vs  6サイクル群98
  • 有害事象は4サイクル群で少ない。(統計解析なし)
  • 再発率には両群で有意差なし。

低リスクDLBCL患者はR-CHOP4コース+Rit2回追加のみでよさそうと考えられる。

(R-CHOP6回は不要)

 

 

DLBCL患者のCNS再発予防

びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)の中枢神経(CNS)再発は、全生存期間(OS)中央値が6か月未満と致死的な合併症。なので予防が大切。

El-Galaly TC, et al. Treatment strategies, outcomes and prognostic factors in 291 patients with secondary CNS involvement by diffuse large B-cell lymphoma. Eur J Cancer. 2018 Apr;93:57-68. 

 

しかしながらCNS再発予防のための最適なレジメンは未だ確立されていない。

※CHOPまたはCHOP-likeレジメンは血液脳関門をほぼ通過しないのでCNS再発リスクが高い患者に対しては特別な治療がオプションとして必要。

現在広く行われている方法として、

  • 大量MTX療法
  • メトトレキサート髄腔内注射(IT)

の2つが主にある。ITの有効性に関しては近年懐疑的になりつつある。

本テーマに関連する最近の文献を紹介。

 

【CNS再発一般について】

  • CNS再発までの期間(中央値)は約10か月
  • 73%がCNS再発単独、24% が CNS/全身性再発、3%が全身性再発後にCNS再発
  • 再発部位は、実質(58%)、軟髄膜(27%)、および両方(12%)

Eyre TA, et al. Efficacy of central nervous system prophylaxis with stand-alone intrathecal chemotherapy in diffuse large B-cell lymphoma patients treated with anthracycline-based chemotherapy in the rituximab era: a systematic review. Haematologica. 2020 Jul;105(7):1914-1924.

 

【CNS再発予防】

  • 2020年発表のSystematic reviewではIT単独のCNS予防効果は証明されず。HD-MTX療法が困難患者では考慮される。

    Eyre TA, et al. Efficacy of central nervous system prophylaxis with stand-alone intrathecal chemotherapy in diffuse large B-cell lymphoma patients treated with anthracycline-based chemotherapy in the rituximab era: a systematic review. Haematologica. 2020 Jul;105(7):1914-1924.

  • ITによるCNS再発予防効果は認められず、むしろ感染症による入院が増加するとの報告あり。
    Eyre TA, et al. Stand-alone intrathecal central nervous system (CNS) prophylaxis provide unclear benefit in reducing CNS relapse risk in elderly DLBCL patients treated with R-CHOP and is associated with increased infection-related toxicity. Br J Haematol. 2019 Oct;187(2):185-194.
  • 別の2020年発表のSystematic reviewでは、単一径路の場合、CNS予防の方法(IV vs IT)で予防効果に有意差なしとの報告あり。
    Orellana-Noia V, et al. CNS prophylaxis during front-line therapy in aggressive non-Hodgkin lymphomas: real-world outcomes and practice patterns from 19 US academic institutions. Blood 2020;136:Suppl 1:478-478. 
  • 精巣DLBCL患者はHD-MTX and/or IT chemotherapyが有効な可能性がある。
    Vitolo U, et al. First-line treatment for primary testicular diffuse large B-cell lymphoma with rituximab-CHOP, CNS prophylaxis, and contralateral testis irradiation: final results of an international phase II trial. J Clin Oncol. 2011;29(20):2766-2772.
    Conconi A, Chiappella A, Orsucci L, et al.. Intensified (intravenous and intrathecal) CNS prophylaxis in primary testicular diffuse large B-cell lymphoma: 5-year results of the IELSG30 trial. Hematol Oncol. 2021; 39(suppl S2).
  • ITのみ、HD-MTXのみではCNS再発予防効果なしとの報告あり。
    Orellana-Noia VM, et al. Single-route CNS prophylaxis for aggressive non-Hodgkin lymphomas: real-world outcomes from 21 US academic institutions. Blood. 2022;139(3):413-423.
  • Hyper/CVADやCODOX/IVACのようにHD-MTX or Ara-Cが含まれている方が、CHOPなどそうでないレジメンより中枢神経再発率は低い。
    Cheah CY, et al. A multicentre retrospective comparison of central nervous system prophylaxis strategies among patients with high-risk diffuse large B-cell lymphoma. Br J Cancer 2014;111:1072-1079.
  • HD-MTX療法を行う場合、レジメン間に挟む場合も、全レジメンが終了した後に行う場合も再発予防効果に有意差なし。レジメン間に挟む場合は化学療法が遅れ、毒性が増す可能性がある。
    Wilson MR, et al. Timing of high-dose methotrexate CNS prophylaxis in DLBCL: a multicenter international analysis of 1384 patients. Blood. 2022 Apr 21;139(16):2499-2511. 
  • CNS予防を行う患者の選び方などに関する1つの例

    Wilson MR, Bobillo S, Cwynarski K. CNS prophylaxis in aggressive B-cell lymphoma. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2022 Dec 9;2022(1):138-145.



How I treat CLL patients with ibrutinib

文献紹介。自分用の備忘録的な位置づけです。

 

BloodのHow I treat CLL patients with ibrutinibまとめです。

 

Introduction

  • IbrutinibはCLL患者のあらゆるフェーズで有効な薬剤の1つ。
  • RESONATE試験では、4年間のフォローアップで途中中断患者は12%ほど。
    多い有害事象はAf、出血、感染であった。
  • Real world dataでは42%が毒性のため中断したとのデータあり。
  • 広く使用されるようになり、当初想定されていたより有害事象や中断症例は多いのかもしれない。

治療前患者で評価すべき項目・頻度の多い有害事象

  • 年齢:80歳以上の患者は6ヵ月で60%以上が中断している。
    低いPSやhigher Cumulative Illness Rating Scale comorbidity scoreも予後悪化に関連。
  • 出血臨床試験では1-9%で大出血あり。術後のものもあるが自然発生のものもあり。
    BTKは血小板活性化作用があり、BTK阻害薬は血小板機能低下につながるため。CLL患者というだけで血小板凝集能は低下しており、BTK阻害薬投与でさらに低下する。
    ※既に抗凝固や高血小板剤を投与されている患者は要注意。このような患者は臨床試験から除外されている。
    ※周術期は3-7日休薬考慮。特に6既に-12カ月以上投与投与されていて病状安定している患者は短期間中止しても問題なし。
  • 心臓関連有害事象:Afが最多で10-15%ほどにあり。過去にAf歴ある患者は特に注意。心不全などの発症率が上昇する。高血圧も悪化するとの報告あり。
  • 併用注意薬:CYP3A4 阻害剤は併用注意。ジルチアゼム、ベラパミル、アミオダロン、フルコナゾール、ボリコナゾールなどと併用する場合は要減量。
  • 感染とその予防:肺炎が最も多い。臨床試験ではG3以上の肺炎が25%、G3以上の感染症が51%で報告されている。最初の6ヵ月が多く、6カ月以降は半分以下となる。T細胞機能低下と関連。アスペルギルスなど真菌感染も多い。BTK 阻害剤を受けている血液悪性腫瘍患者の日和見感染率は 8.1%。 VZV/PJP率も高く、この予防が考慮される。

その他

  • Ibrutinibを夜内服とすると消化管関連有害事象を防げるかもしれない。
  • 関節痛を訴えることがあるが、多くの場合、大きな介入をせずとも改善することが多い。重度の場合はステロイド考慮される。
  • 血球減少が起こることがある。開始1-2か月は末梢血リンパ球が増加し、その後ゆっくりと減少していく。症状が改善しているのであれば病状進行ではない。
  • 血小板は減少することがあるが多くの場合は問題とならない程度である。
  • 皮疹は2⁻27%に見られる。ステロイド外用薬で対処できることが多い。
  • 爪・毛髪の質の変化が起きることがある。