抄読会で扱った文献の紹介。
RESEARCH ARTICLE
CD97 promotes spleen dendritic cell homeostasis through the mechanosensing of red blood cells
SCIENCE • 11 Feb 2022 • Vol 375, Issue 6581
- 樹状細胞:主なものとしてDC1と2がある
DC1 Cross presentationを通してCD8を活性化
cDC1細胞は、交差提示またはMHCクラスI上の外因性抗原の提示に特化して、ナイーブCD8+ T細胞が細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エフェクター機能を獲得するように誘導
DC2:抗原提示にてCD4を活性化
cDC2細胞は、通常DCファミリーに起因する一般的な機能、MHCクラスII上の抗原提示を介したナイーブCD4+ T細胞のプライミング、および共刺激に関与
今回は、DCのmigration、組織にとどまっているか血流に流れるかがどのように規定されているかを取り上げている。Arhgef1、Gα13(GNA13)にまず着目。
Gα13-containing heterotrimeric G proteinsは細胞をニッチ内にとどめることに関与しているとされており、これがDCの位置決めにも関与しているのではないかと考えた。これと相互作用があるとされているArhgef1をまず調査する。
- Arhgef1、Ga13をKOするとCD2が減少する。
両者は同じpathwayに関与している。(ダブルKOでも減少程度に差がない) - 血管内に抗体(蛍光色素)を注入し、血流にさらされているDCだけを標識(DCには血流にあるもの、脾臓内にトラップされているものがある)
→血流中にあるものだけが減少している - CD97 KOでも樹状細胞は減少→CD97は樹状細胞維持に必要。
- 動脈・静脈でDCの減少程度を調べることで、脾臓からDCが流れ出ていることが分かった。
- CD97はそれ自身が切断されると活性化するしくみになっている。(NTFというCD97の一部分がCD97から切り離されると活性化する。)
CD97が切れないようにすると樹状細胞は変わらない。 - CD97のリガンドとして知られているCD55を調査。
→CD55をブロックするとDCが脾臓から血流に流れ出ることが分かる。 - 移植実験をするとドナー側のCD55 KOの際にDC2が減少する。
- CD55が発現している代表的な細胞RBCを次に調査。
→RBCにCD55が発現していることが脾臓でのDC維持に重要であることが分かった。
※CD55は血小板に発現しているがこれは関与しないことが実験により分かった。 - その後の実験でCD97の片割れであるNTF部分が引き抜かれないとDC2は脾臓から離れて行ってしまうことが分かった。この引き抜きに重要なのがRBCに発現しているCD55。
出典:Tatiana Zyryanova, et al. 2014
- Adgre5 KOするとMrtf-a関連遺伝子の発現がUp
- CD2の分化に重要とされているIRF4も、CD97と関連があり、IRF4 KOでもCD97の発現が減ることによってDC2は脾臓から流れ出てしまう。
★まとめ
Q. DCがWhite pulpからRed pulpへの出口の部分にとどまれるのはなぜか?
A. RBCに発現しているCD55がDC上にあるCD97の片割れであるNTF部分を引き抜く作用があり、これによってCD97が活性化され、DCが脾臓内にとどまることができる。