公衆衛生に関するレクチャーを受けました。それで新たに学んだこと、よくわからなくて後で調べたことなどをメモ的に書いていきます。
オッズ比とリスク比
100人の肺がん患者と100人の肺がんでない患者を集めた。
このとき、リスク比:9 オッズ比:81
リスク比の解釈:喫煙者の方が、非喫煙者と比べて9倍肺がんになりやすい。【アウトカムの比較】
オッズ比の解釈:肺がん患者の方が、非肺がん患者の81倍喫煙している。【暴露の比較】
リスク比の方が感覚的には理解しやすい。しかし医療統計でよくオッズ比が使われるのは、ロジスティック研究とオッズ比の相性がよく、またリスク比は、ケースコントロール研究のときに使えないのに対しオッズ比はどんな研究の時も使えるからです。
※ケースコントロール研究でもリスク比を計算することはできる。しかし症例数の影響を受けて値が変わってしまうので使うべきではない。
この詳しい解説はこちらのページにあり↓
※2020/12/16追記
リスク比を用いるメリット:
Disease odds ratioとExposure odds ratioが同じになる。上記の肺がんの例で見てみると、
Disease odds ratio=
(喫煙あり肺がんあり/喫煙なし肺がんあり)/(喫煙あり/肺がんなし)/(喫煙なし/肺がんなし)
Exposure odds ratio=
(喫煙あり肺がんあり/喫煙あり肺がんなし)/(喫煙なし/肺がんあり)/(喫煙なし/肺がんなし)
どちらも同じく81
★Attributable fraction:帰属割合
「Exposureによってイベントが何倍になったか」をあらわす値。上記の例で言うと、
肺がんになった100人のうち、喫煙と関係なく肺がんになった人もいるので、これをあらわそうとしているのがAttributable fraction。
喫煙しなくても肺がんになってしまった人:100人中10人
{90/100(喫煙者の中で肺がんになった人) - 10/100(喫煙していない人の中で肺がんになった人)}/90/100(喫煙者の中で肺がんになった人)
=0.8
→喫煙者で肺がんになった人の中の80%は喫煙が原因である。
※この解釈には注意が必要。なぜなら、肺がん発症者の中には、喫煙しててもしていなかくても肺がんになってしまったが、喫煙によって肺がん発症が早まった人というのが存在する。これもある種「喫煙によって肺がんを発症した」と捉えることができるが、上記の式の分子にはこれが含まれていない。