こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

遺伝カウンセリング

セミナー備忘録です。

 

★遺伝カウンセリング★

疾患と遺伝の関連を本人や家族に理解してもらうことを助ける過程。

遺伝検査によって早期発見・早期介入・重症化予防に役立てる。

 

がん以外の疾患の遺伝カウンセリング

・生まれた子が遺伝性疾患や先天異常を持っていた場合

・成人の遅発性発症の遺伝性疾患

がんと遺伝カウンセリング

・対象者が成人で未発症 →家族歴などを聴取し必要に応じて遺伝カウンセリング

・対象者が成人で既に発症 →患者と家族に対し説明・検査・結果(原因・治療法)

 

患者説明

・遺伝が大きく関与する疾患=単一遺伝子疾患(遺伝性腫瘍) 5%程度

・遺伝+環境が関与するがん

どちらも遺伝(子)が関与するが、その程度は異なる。

図やイラストなどを用い、患者に説明。

 

どのようなときに遺伝性のがんを疑う?

・若年発症

・家族内に多発

・両側臓器に発症している

・1人で複数のがんに罹患

 

遺伝子変異が…

・特定の臓器に関する部分であれば、特定のがんが発症

・がん抑制遺伝子であったら、多種のがんが起こる可能性がある

 

カウンセリングの進め方~本人・家族の理解の支援のためのIC法~

・患者家族には心理的葛藤が生じる。

・理解できない、直感的恐怖→逃げたいという気持ちが生じる。

・遺伝と環境が相互作用する、複数の遺伝子が相互作用する疾患であることを説明。

・環境が遺伝子変異を生じさせる…タバコ、放射線、化学物質、加齢などなど。

・家族への影響の支援…遺伝形式の説明

 常染色体優性 VS 常染色体劣性

・薬剤選択マーカーと遺伝性変異

 

家族歴聴取の例

・家族の重複がん、多発がん、発症年齢を聞き取る。

・近親の程度、何親等か、何%の遺伝子を共有しているかに注意していく。

相談の例

「本人、叔母、祖母が乳がん卵巣がん発症。がん家系?自分の子供は?」

必要に応じて、本人や家族の中の必要な人物を遺伝子検査。

例えば常染色体優性遺伝疾患にも関わらず、発症者の両親が発症していない場合などは検査対象となり得る。→不完全浸透の場合はこのようになる。

遺伝するごとに発症年齢が早くなる、という現象もあり。

 

患者の心理的負担

・がんを有しているのみで、うつ病適応障害発症のリスク。

・がんに加え、遺伝子検査の心理的負担は相当なもの。

・パネル検査を受ける患者の気持ち"Patient perspectives on molecular tumore profiling"

→検査参加の理由は治療に役立て、生命延長が主なもの。理解が不十分でも主治医との信頼関係があると検査の後押しになる。

・家族への告知は難しい問題。未成年者などへのICは慎重に。基本的に本人の同意なく両親の規模のみで遺伝子検査などは行わない。