こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

PI3K経路とは

PI3K経路に関する以前の記事↓

 

【文献紹介】p53ノックアウトは血小板減少や機能低下につながる - こりんの基礎医学研究日記

【文献紹介】がん抑制遺伝子p53の歴史と機能・血小板との関連 - こりんの基礎医学研究日記

 

★PI3K=phosphatidylinositol-3 kinase(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)

 

細胞膜の脂質二重層に存在するリン脂質である、イノシトールリン脂質のイノシトール刊環3位のヒドロキシル基のリン酸化を行う酵素

 

 

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出典:

https://www.youtube.com/watch?v=OvXqMsYu8WQ

経路は非常に複雑なので、簡略化して説明。

 

Growth Factor=増殖因子が膜貫通型受容体に結合

→受容体チロシンキナーゼによってPI3Kが活性化

→PI二リン酸(PIP2)をリン酸化することでPI三リン酸(PIP3)が生成される

→PIP3ががん遺伝子であるAktをリン酸化する

→これががん化に関与

 

PIP3を脱リン酸化してPIP2に戻す酵素であるPhosphatase and Tensin Homolog deleted from chromosome 10=PTENの存在が知られている。

 

つまりPI3K経路活性化によってがん化につながる可能性があることから、PI3K阻害剤ががん発症抑制につながっているのではないかとされている。

 

 

参考動画↓

https://youtu.be/OvXqMsYu8WQ

https://www.youtube.com/watch?v=ewgLd9N3s-4