前回の記事を書いた際に発見した動画が面白かったので他の動画も見てみました。なので、それに関連して勉強したことと共に紹介します。
前回記事↓
Notchシグナル伝達経路は、ショウジョウバエから脊椎動物まで幅広い生物が有している経路である。神経、循環器、免疫系など多臓器の発生・分化などに関与している。主に、
- 細胞増殖
- 細胞運命決定
- 分化
- アポトーシス
などを制御している。隣接している細胞同士の伝達経路であり、一方の細胞の膜表面にある送り手タンパク質Delta(Jaggedという別の送り手もあり)ともう一方の細胞の膜表面にある受けてタンパク質Notchの間のやり取りのこと。
○送り手:Delta(DLL1,3,4)またはJagged(JAG1,2)
○受け手:Notch 哺乳類ではNOTCH1,2,3,4と4種類あり
<Notchシグナル伝達経路のだいたいの流れ>
送り手側細胞内でMind Bomb(Mib)と呼ばれるタンパク質が細胞膜表面にあるDelta(またはJagged)をユビキチン化
→Delta(またはJagged)が活性化
→受け手側のNotchの細胞外の部分(NECD)にDelta(またはJagged)くっつく
→Notchの細胞内の部分(NICD)が切り離される
→切り離された部分が核内へ
→標的遺伝子の転写を活性化
<これまでのブログでふれたNotch経路の造血への関与>
・副甲状腺ホルモン(PTH / PTHrP)受容体(PPR)がマウスの骨芽細胞にに導入されると、NotchリガンドJagged1が生成→骨芽細胞増加→HSC増加
→骨芽細胞はHSC増殖に関与?
・Jagged-1を介したNotchリガンドシグナル伝達はHSC自己複製を支持し枯渇を防ぐ。
・HSCにおけるNotch遺伝子や受容体の過剰発現は、機能的HSCの数の増加、自己複製能の増加、分化阻害につながる。しかしNotchノックアウトマウスを作っても自己複製には影響なし!
・ニッチシグナルはNotchシグナルの活性化に関与。またNotch1やJagged1の遺伝子変異マウスでは胚性致死や造血障害が生じるのに対してNotch2,3,4ノックアウトでは造血障害は確認されず…胚発生においてNotchは不可欠だが成体造血における役割はまだ明らかでない。
・Wntシグナルとのクロストークあり!
参考文献:
千葉大学薬学研究院「生化学研究室」:
http://www.p.chiba-u.jp/lab/seika/notch.html