こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

JAK-STATシグナル伝達経路とは

主に自分用に勉強した内容の備忘録です。

 

JAK-STAT経路は主にサイトカインによる刺激を細胞内に伝達し、リンパ球などを誘導するために働く経路である。

 

JAK=Janus Kinase

STAT=signal transducers and activation of
transcription

 

<JAK-STAT経路のだいたいの流れ>

 

何らかの炎症が起きる

→炎症性サイトカイン(例えばIL-6やTNF-αなど)が分泌される

→細胞膜に近づく

→細胞膜表面にあるサイトカインレセプターに結合する

→サイトカインレセプター(細胞膜を貫通している)の内側にくっついているチロシンキナーゼであるJAKがリン酸化される

→JAKによって転写因子であるSTATがリン酸化される

→STATが核内へ移行

→DNAに結合

→遺伝子発現

→T細胞やNK細胞の分化、抗腫瘍効果、抗ウイルス効果などなど…様々な効果を発揮

 

チロシンキナーゼであるJAKには4種類ある(JAK1,JAK2,JAK3,TYK2)。

・JAK1とJAK3がくっついているサイトカイン受容体、JAK1とJAK2とTYK2がくっついているサイトカイン受容体、JAK2が2つくっついている受容体など様々なパターンがある。

・それぞれ結合するサイトカイン、発揮する機能が異なる。

・STAT側は7種類あり(STAT1-4, 5A, 5BおよびSTAT6)、発揮する機能に異なるSTATが対応している。

・JAKを阻害することで複数のサイトカインをブロックすることができ、これがリウマチの治療などに利用されている。

・しかし抗腫瘍効果やリンパ球の働きも抑制してしまうため、感染症や悪性腫瘍の発生につながるなどの懸念もある。

 

個人的には以下の動画がとても分かりやすかったです。

英語が良く分からなくても絵で何となくわかります。

 

参考文献

「JAKとリウマチ疾患」https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/26/4/26_330/_pdf/-char/ja

JAK/STATシグナリング

http://www.ft-patho.net/index.php?JAK%2FSTAT%A5%B7%A5%B0%A5%CA%A5%EA%A5%F3%A5%B0

JAK-STAT signalling Pathway

www.youtube.com