こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【Western Blottingの注意点&Tips】第1回「サンプル調整」

先日Western Blottingのプロトコールに関する記事を書きました。

 

teicoplanin.hatenablog.com

 

プロトコールの工程1つ1つに関して解説や注意点などを述べていきたいと思います。

 

第1回「サンプル調整」

大まかな流れは、

洗浄→溶解→タンパク質抽出

となる。工程が増えるほど、ロス(喪失)やミスが起こる確率が高くなり、時間もかかるため、できる限りシンプルに!

 

まずは上記記事で紹介したプロトコールのうち、サンプル調整の部分だけをもう一度振り返ります。

 

******************************************************

  1. 【準備】ウェスタンブロットで解析したい細胞を2x10^5個/tubeとなるようにスクリューキャップ付き1.5mlチューブに入れ、遠心 1200rpm 3min
    →上清を吸引してペレットのみとする。(用いる細胞にもよるがおそらくペレットは視認できず。)
    ※この状態で凍結保存(-30℃)可能。室温にて回答したのちに、2.から実験再開可能。
    ※細胞数は多すぎても少なすぎても望ましくない。

  2. 【サンプル調整①】まずサンプルバッファーを作成。当ラボではBIO RAD 4x Sample bufferを使用しているため、これをMilli Q waterで4倍に希釈し1xとする。
    (2x Sample bufferも市販されているようなので、用いるものに応じて適切に希釈する。)
    1xとしたものに2%となるように2MEを加える。
    具体的には、以下のように行う。
    1x Sample buffer  98μl
    2ME                        2μl
    これで2MEが2%となる。

  3. 【サンプル調整②】上記で作成した溶液30μlをペレットだけが残っている各チューブに入れ、ピペッティング懸濁する。
    →このとき粘性が生じることがあり、この粘性は細胞数が多すぎるサインだと教わりましたが、経験的にこのあと希釈すれば問題なく結果は出るかと思います。

    ※2MEには刺激臭がある。
    ※Sample bufferは室温保存、2MEは4℃保存。
    ※BCA法でタンパク量を測定するときには2MEは入れない。(筆者はBCA法をやったことがないので詳しくは不明。)
     
  4. 【サンプル調整③】ヒートブロックにて加熱。95℃ 5min

  5. 【サンプル調整④】遠心 1500rpm 5min

  6. 【サンプル調整⑤】上清を使用する。吸引して新たな1.5mlチューブに入れる。

    ※ここで必要に応じて1xSample bufferを用いてサンプルを希釈する。例えば2倍希釈や5倍希釈など(これは実験結果を見ながらtry & errorで調整していくほかないような気がします。筆者としては初回はとりあえず希釈なしでやるほかないのでは…と思っています。)

******************************************************

 

まずWestern Blottingに使う細胞を、細胞の場合も組織の場合も1つ1つバラバラにしてPBSで洗う。

 

細胞ではなく、肝臓や筋肉などの組織を用いるときはホモジェナイザーを用いてすりつぶすなどする。

 

可溶化に使用するBufferはいろんな種類があるが(以下の動画の2:12あたりから解説あり)、中でもSDS sample bufferは溶出力が強く、はほぼすべてのタンパク質を抽出可能であり、筆者もこれを使用している。(これしか使用したことがないので、他のbufferを使用すべき場面についてはあまりよくわかりません。)

 

使用するbufferによってはソニケーションが必要なようですが、これはやったことがないので、割愛します。

 

溶出したら、次に行うのが熱変性です。タンパク質は立体構造や電化があるため、このまま泳動すると、それらの影響を受けてきちんと泳動できなくなってしまう(分子量通りに並ばない)。

 

熱変性をすると、、還元剤の作用で、、

立体構造がほどけてまっすぐに!

SDS由来の負の電荷を全てのタンパク質が持つように!

という利点がある。

 

以下の動画では、SDS sample buffer以外のbufferをサンプル調整に用いる場合には、不要物を取り除くために遠心を、としていますが、筆者はSDS sample bufferを用いていますが、遠心も行っています。

 

おそらくやっても特に害はないと思います。(たぶん)

今回は以上です。

 

参考文献・サイト:

ウェスタンブロットの基本の流れ——成功に導くヒント | M-hub(エムハブ)

https://www.gelifesciences.co.jp/technologies/protein_preparation/index.html

 

www.youtube.com