先日Western Blottingのプロトコールに関する記事を書きました。
プロトコールの工程1つ1つに関して解説や注意点などを述べていきたいと思います。
第1回「サンプル調整」
大まかな流れは、
洗浄→溶解→タンパク質抽出
となる。工程が増えるほど、ロス(喪失)やミスが起こる確率が高くなり、時間もかかるため、できる限りシンプルに!
まずは上記記事で紹介したプロトコールのうち、サンプル調整の部分だけをもう一度振り返ります。
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- 【準備】ウェスタンブロットで解析したい細胞を2x10^5個/tubeとなるようにスクリューキャップ付き1.5mlチューブに入れ、遠心 1200rpm 3min
→上清を吸引してペレットのみとする。(用いる細胞にもよるがおそらくペレットは視認できず。)
※この状態で凍結保存(-30℃)可能。室温にて回答したのちに、2.から実験再開可能。
※細胞数は多すぎても少なすぎても望ましくない。 - 【サンプル調整①】まずサンプルバッファーを作成。当ラボではBIO RAD 4x Sample bufferを使用しているため、これをMilli Q waterで4倍に希釈し1xとする。
(2x Sample bufferも市販されているようなので、用いるものに応じて適切に希釈する。)
1xとしたものに2%となるように2MEを加える。
具体的には、以下のように行う。
1x Sample buffer 98μl
2ME 2μl
これで2MEが2%となる。 - 【サンプル調整②】上記で作成した溶液30μlをペレットだけが残っている各チューブに入れ、ピペッティング懸濁する。
→このとき粘性が生じることがあり、この粘性は細胞数が多すぎるサインだと教わりましたが、経験的にこのあと希釈すれば問題なく結果は出るかと思います。
※2MEには刺激臭がある。
※Sample bufferは室温保存、2MEは4℃保存。
※BCA法でタンパク量を測定するときには2MEは入れない。(筆者はBCA法をやったことがないので詳しくは不明。)
- 【サンプル調整③】ヒートブロックにて加熱。95℃ 5min
- 【サンプル調整④】遠心 1500rpm 5min
- 【サンプル調整⑤】上清を使用する。吸引して新たな1.5mlチューブに入れる。
※ここで必要に応じて1xSample bufferを用いてサンプルを希釈する。例えば2倍希釈や5倍希釈など(これは実験結果を見ながらtry & errorで調整していくほかないような気がします。筆者としては初回はとりあえず希釈なしでやるほかないのでは…と思っています。)
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まずWestern Blottingに使う細胞を、細胞の場合も組織の場合も1つ1つバラバラにしてPBSで洗う。
細胞ではなく、肝臓や筋肉などの組織を用いるときはホモジェナイザーを用いてすりつぶすなどする。
可溶化に使用するBufferはいろんな種類があるが(以下の動画の2:12あたりから解説あり)、中でもSDS sample bufferは溶出力が強く、はほぼすべてのタンパク質を抽出可能であり、筆者もこれを使用している。(これしか使用したことがないので、他のbufferを使用すべき場面についてはあまりよくわかりません。)
使用するbufferによってはソニケーションが必要なようですが、これはやったことがないので、割愛します。
溶出したら、次に行うのが熱変性です。タンパク質は立体構造や電化があるため、このまま泳動すると、それらの影響を受けてきちんと泳動できなくなってしまう(分子量通りに並ばない)。
熱変性をすると、、還元剤の作用で、、
立体構造がほどけてまっすぐに!
SDS由来の負の電荷を全てのタンパク質が持つように!
という利点がある。
以下の動画では、SDS sample buffer以外のbufferをサンプル調整に用いる場合には、不要物を取り除くために遠心を、としていますが、筆者はSDS sample bufferを用いていますが、遠心も行っています。
おそらくやっても特に害はないと思います。(たぶん)
今回は以上です。
参考文献・サイト:
ウェスタンブロットの基本の流れ——成功に導くヒント | M-hub(エムハブ)
https://www.gelifesciences.co.jp/technologies/protein_preparation/index.html