こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポート】Stevens-Jonson症候群

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

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https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/doctors/series/quiz_digital/201805/556087.html

 

★Stevens-Jonson症候群

 

・Stevens-Jonson症候群は、鑑別として薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)などもあげられるが、粘膜障害の程度被疑薬曝露から発症までの期間が異なる。

・DIHS/DRESSでは、粘膜障害は比較的軽度であり、被疑薬曝露から発症まで2-6週間程度である。(1)

・Stevens-Jonson症候群では被疑薬曝露から発症までは約12日間とされる。(1)

・Toxic epidermal necrolysis (TEN)との鑑別は主に粘膜障害の範囲によってなされ、表皮剥離10%以下をStevens-Jonson症候群、30%以上をTENと呼ぶ。(1)

・一般に病歴、特に薬歴と症状・身体所見から診断するが、日本においてはしばしば被疑薬を用いた薬剤誘発性リンパ球刺激試験(DLST)が施行される。

・DIHS/DRESSでは発症早期の検査ではほぼ陽性化せず5-8週間以降で陽性率が上がるとされているのに対し、Stevens-Jonson症候群(TEN)では発症1週間以内の検査陽性率が高いとされている。(2)

・日本ではStevens-Jonson症候群(TEN)の治療にしばしばステロイド全身投与が用いられるが、そのEvidenceは十分ではなく、有意な結果を得るに足る臨床試験がなくステロイド投与に伴う有害事象や死亡率上昇の報告もある。(3)

 

1. Shiohara T, et al. Allergol Int. 2006 Mar;55(1):1-8.

2. P Kano Y, et al. Allergy. 2007 Dec; 62(12):1439-44.

3. Yamane Y, et al. Allergol Int. 2016 Jan;65(1):74-81.