本日はまた文献紹介です。
Cell Stem CellのPreviewを読んでみます。
比較的短いです。
Aging of the Hematopoietic Stem Cell Niche: An Unnerving Matter
本文まとめ
・マウス造血老化の特徴:生着能・自己複製能・リンパ球系への分化能低下(その結果として骨髄系への偏った分化能を有する)免疫表現型造血幹細胞(HSC)の増加。
・内因子と外因子の両方で形作られる。
内因子:DNA損傷の蓄積、複製ストレス、オートファジー
外因子:血管内皮、間質微小環境
・老化を促進するニッチのメカニズムは不明。
・8-30週齢の若年マウスと比較し70-100週齢の高齢マウスは、骨髄の幹細胞ニッチのリモデリングあり。
→骨内膜表面で減少、毛細血管・ネスチン陽性間質細胞は骨髄の非骨内膜(中心)領域で拡大。
これはIL6などの炎症性サイトカインの増加や交感神経系ノルアドレナリン作動性神経線維増加に関与。
・アドレナリン受容体のβ2, β3受容体をノックアウト→加齢に伴う巨核球増加・血小板増加を抑える。(β2受容体にアドレナリンが結合することでIL6を誘導し、巨核球の分化増殖を促進する)→しかし骨髄・リンパ球比率には影響を与えず。
・β3受容体ノックアウトマウスでは、NOS1依存性一酸化窒素産生を介してリンパ球系分化に偏ったHSCを減少させる。
・β3アドレナリン受容体アゴニストを投与→加齢特性を改善。(加齢による変化が起きにくくなる。)
・アドレナリンシグナルは加齢に伴ったニッチの変化、HSCの変化に関与している可能性がある。
・チロシンヒドロキシラーゼ陽性アドレナリン作動性神経線維の減少と老化は関連。
→アドレナリンシグナル伝達の減衰が造血老化に関与している可能性がある。
・しかしHoらは、対照的に、加齢骨髄におけるチロシンヒドロキシラーゼ陽性アドレナリン作動性神経線維の有意な増加を説明。β2,3受容体の、先ほどの報告とは反対の効果を報告。
→今後の調査が必要。