再び実験プロトコールについてです。
この目的は、自分の頭の整理・知識の確認の他に、いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」的な、文献や教科書に載っていないけど知ってるとちょっと役立つようなことを記録しておくことです。
正確性には注意を払っておりますが、利用の際はご注意ください。
本日は、生命科学実験の定番であるPCRについてです。コロニーPCRについても(ほとんど同じですが)プロトコールを紹介します。
1.PCRに必要なもの…とプライマー調整方法も!
PCRには以下の試薬が必要となる。
(参照:超実践バイオ実験イラストレイテッド レッスン1)
- 鋳型DNA:1本鎖でも2本鎖でもOK。大腸菌ごとそのまま使うこともできる(これがコロニーPCR)。環状であってもなくてもよい。
- dNTP:新しいDNAを作るための材料。A, C, G, T(dATP, dCTP, dGTP, dTTP)が等量ずつ入っており、至適条件に調整されている。
- プライマー:ForwardとReverseの2つが必要。0.5μMが至適条件。
※プライマーの調整について
注文時に液体で注文する場合は、その時に濃度を選ぶことができる。10μMで使用することが多いため、10μMで注文するか、それより濃い(後で希釈する100μM)での注文がおすすめ。筆者は、DRYで注文したプライマーを添付文書に指定された分量のDNAse free waterで希釈し、10μM(=10pmol/μl)として-30℃でストックしており、最終濃度に0.5μMとなるようにしています。TaKaRaのページによると0.1-1μMが良いようです。 - ポリメラーゼ:市販品を使えばOK。
- バッファー:市販品を使えばOK。
2.PCRプロトコール
当ラボでは試薬としQ5を使用。
鋳型DNA 1ng
Fwプライマー 1.25μl (10μM)
Rvプライマー 1.25μl (10μM)
Q5 12.5μl
H2O(SQ) (鋳型DNA量に合わせて合計25μlとなるように調整)
-----------------------------------------
Total 25μl
上記をPCR用8連マイクロチューブに入れ、PCRマシーンへ。
98℃ 30sec
------------------------------------------
98℃ 10sec
65℃ 20sec …温度はプライマーのTm値に合わせる
72℃ 60sec …時間はPCRしたい部分の長さに合わせる
------------------------------------------ 35cycle
72℃ 2min
4℃ ∞
PCR後検体は比較的安定なので常温でおいておいてもほとんど問題ないようです。しかし4℃保存の方が望ましいみたいです。
3.コロニーPCR
大腸菌にトランスフォーメーションなど行った後、どのコロニーに目的のDNAが入っているかを確認するために行います。
くっついて大きくなっているコロニーではなく1つだけのコロニーを選び、イエローチップでつつく。
以下の組成で試薬を混合したPCRチューブ内にイエローチップの先を入れ、くるくると回す。
Fwプライマー 1μl (10μM)
Rvプライマー 1μl (10μM)
Q5 5μl
H2O(SQ) 3μl
(+イエローチップでつついたコロニー=大腸菌)
-----------------------------------------
Total 10μl
あとは同じです。
今回は以上です。