こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【実験プロトコール】PCR&コロニーPCR

再び実験プロトコールについてです。

 

この目的は、自分の頭の整理・知識の確認の他に、いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」的な、文献や教科書に載っていないけど知ってるとちょっと役立つようなことを記録しておくことです。

 

正確性には注意を払っておりますが、利用の際はご注意ください。

 

本日は、生命科学実験の定番であるPCRについてです。コロニーPCRについても(ほとんど同じですが)プロトコールを紹介します。

 

1.PCRに必要なもの…とプライマー調整方法も!

 

PCRには以下の試薬が必要となる。

(参照:超実践バイオ実験イラストレイテッド レッスン1)

 

  1. 鋳型DNA:1本鎖でも2本鎖でもOK。大腸菌ごとそのまま使うこともできる(これがコロニーPCR)。環状であってもなくてもよい。
  2. dNTP:新しいDNAを作るための材料。A, C, G, T(dATP, dCTP, dGTP, dTTP)が等量ずつ入っており、至適条件に調整されている。
  3. プライマー:ForwardとReverseの2つが必要。0.5μMが至適条件。

    ※プライマーの調整について
    注文時に液体で注文する場合は、その時に濃度を選ぶことができる。10μMで使用することが多いため、10μMで注文するか、それより濃い(後で希釈する100μM)での注文がおすすめ。筆者は、DRYで注文したプライマーを添付文書に指定された分量のDNAse free waterで希釈し、10μM(=10pmol/μl)として-30℃でストックしており、最終濃度に0.5μMとなるようにしています。TaKaRaのページによると0.1-1μMが良いようです。

  4. ポリメラーゼ:市販品を使えばOK。
  5. バッファー:市販品を使えばOK。

2.PCRプロトコール

当ラボでは試薬としQ5を使用。

www.nebj.jp

 

鋳型DNA   1ng

Fwプライマー 1.25μl (10μM)

Rvプライマー 1.25μl (10μM)

Q5      12.5μl

H2O(SQ)   (鋳型DNA量に合わせて合計25μlとなるように調整)

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Total     25μl

 

上記をPCR用8連マイクロチューブに入れ、PCRマシーンへ。

PCRプロトコール一例↓

 

98℃ 30sec

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98℃ 10sec

65℃ 20sec …温度はプライマーのTm値に合わせる  

72℃ 60sec …時間はPCRしたい部分の長さに合わせる

------------------------------------------  35cycle

72℃ 2min

4℃   ∞

 

PCR後検体は比較的安定なので常温でおいておいてもほとんど問題ないようです。しかし4℃保存の方が望ましいみたいです。

 

3.コロニーPCR

大腸菌にトランスフォーメーションなど行った後、どのコロニーに目的のDNAが入っているかを確認するために行います。f:id:teicoplanin:20191128172612j:plain

くっついて大きくなっているコロニーではなく1つだけのコロニーを選び、イエローチップでつつく。

 

以下の組成で試薬を混合したPCRチューブ内にイエローチップの先を入れ、くるくると回す。

 

Fwプライマー 1μl (10μM)

Rvプライマー 1μl (10μM)

Q5      5μl

H2O(SQ)   3μl

(+イエローチップでつついたコロニー=大腸菌)

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Total     10μl

 

あとは同じです。

 

今回は以上です。