前回のブログでは、医学部卒業から大学院に入学するまでのことを書きました。
今回は、大学院入学から現在のまでのことについてです。
1.臨床研修(卒後5-5.5年目)
大学院に入学し、晴れて基礎医学を!!…とはならず、事前の面談でクリニカル・リサーチ・フェロー・コースとして入ることになっていた私は、まず大学院付属の病院の血液内科で半年間臨床研修を行うことになりました。
前病院とのギャップが大きくその点は慣れるまで少し苦労しました。
前病院は600床ほどで、かなりアクティブな超急性期病院だったため、とにかくたくさんの患者さんをかなりの回転数で診ていくような感じでしたが、新しい病院は少ない患者さんをじっくり見るといった感じでした。
具体的には受け持ち患者数は15~20人ほどいたのが4-6人ほどになりました。
その分やはり「毎日忙しく駆け回る」という感じではなくなりましたが、1人1人がずっしりと重く(重症な方や非常に高い専門性を要する治療が求められる方)、これまでと違った形で勉強になりました。
いかにも大学病院的な、封建的・トップダウン的教育にもさらされ、以前の病院がかなりリベラルな雰囲気だったためか、その点はいささか窮屈には感じました。とはいえ、経験あるスペシャリストぞろいの上司・先輩方から学ぶことも当然たくさんあり刺激ある日々を過ごしました。
研修期間ほぼいっぱいの約半年間受け持った患者さんから、お礼に病院で使えるサンダルをプレゼントしていただいたり、エチオピア人患者と仲良くなったりなど、いろいろ思い出もでき、充実した日々を過ごしました。
2.基礎医学研究(卒後5.5年目-)
卒後5年目のちょうど真ん中である10月から、ついにScience論文を発表した先輩に紹介してもらった研究室に所属し、基礎研究生活が始まりました。
知らないことばかりで、何もかもゼロから手取り足取り周りの先輩に教えていただき、わからないことを調べようと思っても何を見ればいいかわからず、抄読会に参加しても全くちんぷんかんぷんで、とにかく覚えることがただただ多い毎日を過ごしてきました。
臨床に比べると時間の流れ方はだいぶゆっくりで、実験の1つの段階を超えるのに1か月など平気でかかったりします。これもすぐに慣れ、なんとなくこんなにゆっくりな進行でいいのかなと思いつつ、一歩一歩前に進んでいるといったような形で1年が過ぎました。
病院勤務時代に比べるとかなり時間的余裕もでき、料理やヨガや読書をするなど好きなことして過ごす時間も充実し、楽しい毎日を送っています。
3.これまでのキャリアを振り返って
医師で基礎研究をやりたいという気持ちがある場合、いろいろなパターンがあり、正解も王道もなく、困ってしまう人がいるかもしれません。実際私も今の道が最適だったかはまだわかりませんが、後悔はしていません。
ただやはり基礎をやりたい気持ちがあるなら、臨床はほどほどに(最長でも卒後5年目くらいまででしょうか)早くから基礎に触れておくことが良いように思います。その後臨床に戻ることもできます。
今日は比較的短めの内容になりましたが、以上です。