こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

若手医師のキャリアプランの一例~医学部卒業から初期研修・後期研修・大学院のことについて~

私は現在都内の大学院医学博士課程2年生なのですが、大学院に入るまで(いつどこに入るか)に関しては非常に悩みました。同じように悩んでいる同じくらいの年代の先生の参考になるかもしれないので、今に至るまでの経緯を振り返ってみます。

 

 

1.医学部卒業まで

都内の医大を卒業。在学中は、勉強会に参加したりUSLMEの勉強をしたり、、、など意識高い学生ではなく、サークルで楽器に打ち込みました。6年生の夏まで全学部対象のコンクールに出場するなどみっちり楽しんで過ごしました。そんな感じでしたが、無事に卒業し国家試験にも合格。

 

2.医学部卒業から初期研修修了まで(卒後1-2年目)

初期研修先としては、地元の市中病院を選択。忙しいことで有名な病院で、1年次はほぼ毎日のように病院に泊まって過ごしました。早朝から深夜まで働きづめの毎日でした。

 

こんなにも忙しい病院を選んだ理由は、

基礎研究に進むことを考えていたため、短期間でとにかく経験を積んで、臨床スキルを上げたかったから

です。

 

この目論見(?)は成功しました。ブラックだとか時代に逆行しているだとか言われそうな働き方ですが、自分で望んで始めたからか、やってる側はわりと楽しく、高いモチベーションを持った仲間たちに囲まれ、非常に充実した2年間を過ごしました。

 

2年間で得た医学知識、経験、医師としての姿勢などは今後一生私を支えてくれるでしょう。

 

3.初期研修修了から後期研修まで(卒後3-4年目)

初期研修終了後、すぐに大学院に入学するか、元の病院に残るか、残るなら何年間残るのか、非常に悩みました。

 

そして結論としては初期研修をした病院にさらに3年間残ることにしました(後述しますが、その後やはり2年で退職し、大学院に入学することになります)。

 

残った理由はいくつかあります。

 

  • 単純に臨床がもう少しやりたかった。
    …臨床にある程度習熟するためには、2年では足りるはずもなく(何年やれば十分というものでもないのですが)、純粋に「もっと臨床経験積みたい!」と思ったのです。また大学院に入った後は、「それ以降一生基礎研究のみで生きていく」という選択肢も考えていたため、それならばもうちょっと臨床やってもいいかなと思ったわけです。

  • 研修病院が居心地がよく、後期研修プログラムも魅力的だった。
    …後期研修プログラムは自分のローテーションしたい科や期間を自由に選ぶことができ、これが大変魅力的でした。他の病院もいくつか見学に行きましたが、ローテーションを売りにしている病院でも多くは「○○科6か月以上」「選択科○科まで」といったしばりがあるのですが、元の病院はそれがなく非常にフレキシブルだったのです。慣れ親しんだ環境という点もやはり大きかったです。

  • 基礎研究開始はもう少し後でも十分間に合うと思った。
    …これは単純に体力の問題です。基礎研究をしておく上で(臨床に比べれば)体力はさほど要求されないと思い、その上である程度あとになってから(年齢が進んでから)始めても、間に合うのではないかと考えたのです。

 

というわけで、残ることにしたのですが、卒後3年目の時点で、ある先生を紹介いただいてお話する機会を得ました。

 

大学院進学についていろんな先輩に相談をしていたのですが、同じ病院の上司が、血液内科医で基礎研究もやっていた10年目ほどの先生を紹介してくださったのです。

 

大学院時代に書いた論文が世界的ジャーナルScienceに掲載されるなど非常に優秀な方でした。

 

優秀な方の話は面白く、とても刺激的でした。その方から、

基礎医学研究をやりたいと思っているなら1年でも早い方がいい」

と助言をいただきました。

 

この言葉をきっかけに、上記のようにいろいろ考えて臨床を続けることにしたものの、なんとなくもやもやしていた気持ちに踏ん切りがつき、3年間の後期研修を待たずして、大学院に入学することに決めました。その先生が所属していた研究室を紹介いただき、そこに入ることにしたのです。

 

既に卒後3年目の終わりに近いタイミングであったため、4年目の秋に大学院入試を受け、5年目の4月から大学院に入ることにしました。

 

3年間の後期研修を2年で終えることになったのですが、2年の後期研修は無駄だったかというとまったくそんなことはありませんでした。心臓カテーテル検査をしたり、上下部内視鏡をしたり、石垣島で離島医療研修をしたり…特に印象深かったのは、初めて国際学会に参加し口述発表を経験したことです。

 

これは前病院の豊富な症例とハイレベルな教育環境があってこそ実現しえたものであり、この経験だけでも、大学院入学を遅らせるには十分だったと思えるほど貴重な機会でした。

 

人生の中でもトップクラスに濃密な時間を過ごした初期研修に負けず劣らず充実した期間を過ごしました。

 

というわけで、4年目の秋に大学院入試を受験、無事に合格し、晴れて卒後5年目の4月から大学院に入学することとなりました。

 

大学院入学から1年半が経ちましたが、長くなりましたので、大学院入学後のことはまた次回にしたいと思います。

 

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teicoplanin.hatenablog.com