昨夜の当直の振りかえりです。
現在2か所の病院に救急当直アルバイトに行っています。
どちらもいわゆる北米型ERタイプです。
1.中規模病院 約500床 2次救急
2.中規模病院 約200症 2次救急 →今回こちら
片頭痛発作の女性の方を診ました。片頭痛について少し調べてみます。
日本頭痛学会ガイドラインによると本邦の年間有病率は8.4%で20-40台の女性で多いとのこと。
★診断
診断基準は前兆がある場合とない場合に分けられており、非常に複雑です。今まで知りませんでしたが、
詳しくはガイドライン参照。
http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/gl2013/075-113_2-1.pdf
前兆ある場合とない場合があるようですが、いずれも発作症状5回以上または2回以上が条件となっており初回はERでの診断はできない。
内科医が片頭痛と診断した場合98%でその診断は正しく、緊張型頭痛など片頭痛以外の頭痛と診断した場合、82%が最終的に誤診であったとのデータ有り(「メキメキ上達する頭痛の見方」より)。
→一時性頭痛に関しては、なにか迷ったら片頭痛?
★症状
症状は前兆あるorなしに始まり多岐にわたる。
出典:N Engl J Med 2017; 377:553-561
---UpToDateより誘発因子---
Emotional stress (80 percent)
●Hormones in women (65 percent)
●Not eating (57 percent)
●Weather (53 percent)
●Sleep disturbances (50 percent)
●Odors (44 percent)
●Neck pain (38 percent)
●Lights (38 percent)
●Alcohol (38 percent)
●Smoke (36 percent)
●Sleeping late (32 percent)
●Heat (30 percent)
●Food (27 percent)
●Exercise (22 percent)
●Sexual activity (5 percent)
★治療
---UpToDateより一般的急性期治療編---
・NSAIDs
・アセトアミノフェン(発作時は1000㎎投与など) →NSAIDsとの組み合わせで症状緩和率↑
・トリプタン→全てのトリプタン製剤でエビデンスあり
---UpToDateよりER編---
・スマトリプタン6㎎皮下注
・制吐剤:メトクロプラミド10㎎静注 or プロ黒るペラ人10㎎静注または筋注
or クロルプロマジン0,1mg/kg or 25mg 静注
※高用量メトクロプラミド療法もあり(30分ごとに20㎎静注、最大4回までの投与)
・ジヒドロエルゴタミン1㎎静注+メトクロプラミド10㎎静注
・ケトロラク30㎎静注 or 60㎎筋注
非経口制吐剤使用する場合はアカシジアおよび他のジストニア反応を防ぐために、ジフェンヒドラミンの補助療法(1時間に12.5〜25 mg、2回まで)推奨。
出典:N Engl J Med 2017; 377:553-561
+++その他Tips+++
・片頭痛患者では有意に
・45歳未満の女性で前兆がある片頭痛では脳梗塞リスク若干増加(きわめて少ないが)
また、喫煙・経口避妊薬内服でリスク↑ 前兆のない片頭痛ではリスク増加なし
・ストレス、睡眠不足、天候、頻回の旅行、におい、アルコール、月経などで悪化
---ここま「片頭痛 - 日本頭痛学会」より---