以前死細胞に関する記事を書きました。
死細胞検出法(染色法)であるPI=Propidium IodideとAnexin Vはどう違う?
A. Anexin Vは全ての細胞死で陽性になるが、PIはネクローシスでのみ陽性となる。
アポトーシスが起こると正常細胞では細胞膜内にあるリン脂質ホスファチジルセリンが細胞外に露出する。これを検出するのがAnexin V。
→しかしこれだとアポトーシスとネクローシスが区別できない。ここでPropidium Iodide(PI)を組み合わせればこれが判別可能。
正常細胞:PI-/Anexin-
アポトーシス:PI-/Anexin+
ネクローシス:PI+/Anexin+
参考サイト:
上記以外に死細胞をカウントする方法としてトリパンブルーで染色する方法もあります。
マニュアルカウントで生存率を算出するため、トリパンブルーによる染色が用いられます。
死んだ細胞の細胞膜は透過性が高くなっており、図のようにトリパンブルーが内部に進入し青く染色されます。
青く染まった細胞=死細胞として、生細胞の数および細胞の全数をカウントし、細胞の状態を評価するために、生存率を算出します。
生存率(%)は下記の式で表される。生存率(%)=生細胞数/全細胞数×100
出典:
https://www.wakenbtech.co.jp/topics/post-10657
生体内で死細胞がどれくらいあるのか、ということを実験上調べないといけない場面がでることがあります。しかし生体内で生じる死細胞を計測するのはなかなか難しいです。なぜかというと死細胞が生体内に残っていると悪影響なので、死細胞が出ると速やかに除去されるようになっています。
死細胞クリアランスなどといわれています。
通常、生体内においてアポトーシス細胞は、生体内に貯留することで炎症を惹起するなどといった悪影響を及ぼさないように、マクロファージなどの貪食細胞による貪食が速やかに行われ、除去される仕組みとなっている。
Nagata S. Apoptosis and Clearance of Apoptotic Cells. Annu Rev Immunol. 2018 Apr 26;36:489-517.
つまり死んだ細胞はすぐに除去されるので、例えばある臓器を持ってきて死細胞率が少なかったとしても、実際はもっと多いかもしれないのです。
真にin vivoでの視細胞率を調べたいと思ったら3週間in vitro培養してからでないとだめだとも注意されたことがありますが、これはソースは見つけられませんでした。
しかしこれもin vivoとは大きく環境が違うのでどうなのかなという気がします。
とにかく生体内で発生する死細胞を正確にカウントするのは難しいという話でした。