こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポートメモ】遺伝性出血性末梢血管拡張症

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

★遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)

 

診断基準【Curacao Critera】(1)

1.繰り返す鼻出血
2.皮膚や粘膜の毛細血管拡張
3.肺・脳・肝・脊髄・消化管の動静脈瘻/動静脈奇形
3.一親等内にこの病気の患者がいる
→3つ以上で確診definite、2つで疑診probable、1つでは可能性は低いunlikely

 

・HHTはendoglin/ALK-1/SMAD4の異常を伴う常染色体優性遺伝疾患であるが、家族歴がない症例も15−30%存在する。(1-3)

・全身の血管奇形・毛細血管拡張・出血傾向を主な病態とし、繰り返す鼻出血が特徴的である。(1-3)

・動静脈瘻をしばしば合併し、感染のリスクとなりうる。(1-3)

感染症の合併が多く、13%に重症感染症を合併するとの報告がある。(4)

・起炎菌が同定された症例では、Staphylococcus aureusが63%と最多であった。(4)

・動静脈瘻が感染のリスクとなるほか、繰り返し障害される鼻粘膜からの常在菌侵入により菌血症・膿瘍に至りやすいとされている。(4) 

 

1. Shovlin CL, et al. Am J of Med Gen. 2000;91:66–67.
2. Guttmacher AE, et al. N Engl J Med. 1995;333:918-924.
3. Peery WH. Am J Med. 1987;82(5):989-97.
4. Dupuis-Girod S et al.Clin Infect Dis. 2007;44:841-845.