本日も再びELISA関連です。
ELISAに関してこれまで書いた他の記事は以下の通りです。
タンパク質を検出する方法~ELISAの原理~ - こりんの基礎医学研究日記
ELISAの原理~妊娠検査のしくみ~ - こりんの基礎医学研究日記
<追記>
【実験プロトコール】ELISAのやり方 - こりんの基礎医学研究日記
本日はELISAに使用するいくつかの代表的な試薬について説明します。
ビオチン
ビタミンB群の一種でビタミンB7とも呼ばれる。分子量が非常に小さい。次項で解説するアビジンと非常に高い親和性を示し、アビジン・ビオチン・システムと呼ばれ、ELISAの他、免疫組織化学染色やフローサイトメトリーなど様々な分野で応用されている。
アビジン
生卵白中に含まれるタンパク質。(調理によってビオチン親和性は失われる。ビオチンとの親和性は生卵の状態でのみ見られる。)
ELISAやウェスタンブロットに下記のアビジン・ビオチン・システムが利用されるときは、しばしばHRP と呼ばれる西洋わさび(Horseradish)が付加されています。HRPは、過酸化水素を基質とした酵素で、あとに出てくるTMBを反応させると青紫色の色素が生じ、ELISAではこれを吸光度計にて測定しています。
アビジン・ビオチン・システム
抗体を付加したプレートに、検出に使いたいサンプル(尿や血清)を入れた後、アビジン→ビオチン→TMB→Stop slutionを順に反応させて吸光度測定するという方法が、サンドイッチELISAではよく用いられます。
既述の通りビオチン・アビジンは親和性が高く、とても強固な結合なので、相互作用に強く安定なようです。また反応も素早く起きるため、その点も都合がよいようです。
<なぜELISAにアビジン・ビオチン・システムが利用されるのか?>
結論からいうとこれは立体障害を緩和するためです。通常、抗体に酵素を付加したい(それによって抗体を発色させ、目的のタンパク質を検出したい)わけですが、酵素は非常に分子量が大きいため、立体障害が生じてしまうことがあります。特に酵素は分子量がとても大きいため、抗原や抗体活性に影響を与えてしまう可能性があります。そうするとELISAで検出できる感度が低下してしまいます。これを防ぐ1つの方法とし、架橋試薬のリンカー長を延長をアビジン・ビオチン・システムによって試みています。
立体障害(りったいしょうがい, steric effects)とは分子内および分子間で分子を構成する各部分がぶつかることによる回転などの制限のこと。
出典:Wikipedia
イメージ的には感じでしょうか↓
TMB
3,3’,5,5’-テトラメチルベンチジン(3,3’,5,5’-Tetramethyl benzidine)のこと。HRPの色原生基質として使われる。
アビジンに孵化されている酵素HRPによって過酸化水素が分解され、活性酸素ができると、この活性酸素とTMBが反応して青紫色に発色します。
反応式は以下の通り。
色原性基質+ H2O2 ⇔ 酸化型色素+ 2H2O
出典:https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/010856.html
Stop solution
上記のようにTMBを用いた反応の場合は、硫酸が用いられます。硫酸によって酸性環境下になることで反応が止まり、また青紫色色素は黄色となり、450nm に吸収を持つようになります。→これを吸光度計で測定します。
参考文献:
https://www.gelifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/chem_story/137.html
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/elisa-reagents/
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/010856.html